熊本市で昨年、飲酒運転のうえ、バックで高速走行して女性2人を死傷させたとして自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致死傷)などに問われた元ホストクラブ従業員松本岳被告(25)の控訴審判決が22日、福岡高裁であった。岡部豪裁判長は「危険運転」の成立を認め、懲役12年とした1審・熊本地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。
判決によると、松本被告は昨年6月15日未明、酒気を帯びて軽乗用車を運転してトラックに追突。飲酒運転の発覚を免れるためにその場から逃走しようと、時速約70~74キロでバック走行し、歩道上を歩いていた市職員の女性(当時27歳)ら2人に衝突し、女性を死亡させ、別の女性(同)に2週間のけがを負わせた。
1審では、バック走行が危険運転の適用要件の一つである「進行を制御することが困難な高速度での走行」に含まれるかどうかが主な争点だった。判決はバック走行も含まれると判示した上で、ハンドル操作のわずかなミスで事故が発生する危険があった速度だったと指摘し、危険運転が成立すると判断。被告側が控訴していた。
控訴審で弁護側は「操縦不能の状態ではなかった」として危険運転は成立せず、「過失運転」にとどまると主張していた。