従業員の女性6人に対する強制性交等致傷・準強制性交・強制わいせつ・準強制わいせつの罪と従業員の男性たちに対する暴行・暴力行為等処罰法違反の罪に問われ1審の福岡地裁で懲役30年の判決を受けたペットショップ経営・本多道雄被告(67)の控訴審。
福岡高裁は「過去に類を見ないほどの特異な悪質性を備えているとの1審判決の評価は相当」「有期懲役刑の上限である懲役30年を下回るような量刑は相当でないと判断した1審判決に誤りはない」として1審の懲役30年判決を支持し、控訴を棄却した。
※全2回掲載その②
福岡高裁「死を感じさせるほどの恐怖感」「長期にわたり、完全に支配・服従」認定
判決で福岡高裁(平塚浩司裁判長)は従業員の女性Cさんに対する強制性交等傷害の罪について
「本多被告は、従業員の女性Cさんに対し、首を絞めるなどの強度の暴行を加え、従業員の女性Cさんに死を感じさせるほどの恐怖感を与えていることに照らしても、態様や結果を軽くみることはできない」
従業員の女性Dさん、従業員の女性Eさん、従業員の女性Fさんに対する準強制性交等・準強制わいせつの罪について
「本多被告が、従業員の女性Dさん、従業員の女性Eさん、従業員の女性Fさんに対し、強い脅迫を繰り返して、長期にわたり、完全に支配し、服従させた上、その状態に応じて各犯行に及んだとする1審判決の評価に誤りはない」
などと認定した。
福岡高裁「過去に類を見ないほどの特異な悪質性を備えているとの1審判決の評価は相当」
福岡高裁は本多被告の各犯行について、従業員の女性Aさんに対する一部のわいせつ行為を除き、いずれも相当であり、論理則、経験則等に照らしても1審判決に不合理な点はないと結論づけた。
Aさんに対する犯行については、一部のわいせつ行為を除いても「その他の本多道雄被告の言動は認定することができ、強制わいせつ罪の成立が認められる」として、原判決の結論に影響を与えないと判断した。
そのうえで
「各犯行前の本多道雄被告と被害者らとの関係性や、各犯行に至る経緯等に照らせば、本多道雄被告が多数の従業員らを恐怖によって支配して服従させ、常習的に性的行為や脅迫行為を繰り返す中で各犯行が行われ、過去に類を見ないほどの特異な悪質性を備えているとの1審判決の評価は相当である」
と判示した。
懲役30年の1審判決に「誤りはない」 控訴を棄却
弁護側は「この事件による罪のうち法定刑に無期懲役刑が含まれるのは1件だけであること等を踏まえると、本多被告を懲役30年に処したことは余りにも重すぎる」という主張をしていた。
これに対し、福岡高裁は「1審判決も、弁護側が指摘する事情を明示的に考慮に容れている。その上で、同種事案の量刑傾向の中でも、最も重い部類に位置付けられる事案といえるとし、有期懲役刑の上限である懲役30年を下回るような量刑は相当でないと判断した1審判決に誤りはない」と認定。
1審の懲役30年判決を支持し、本多道雄被告の控訴を棄却した。
この判決は全2回に分けて掲載しています。
②女性従業員6人を完全に支配・服従させて性暴力 ペットショップ経営・本多道雄被告(67) 1審の「過去に類を見ないほどの特異な悪質性」懲役30年判決を支持し控訴棄却【判決詳報】