急遽、実施されることになった衆議院解散総選挙へ向けて、各党の公約が明らかになってきた。どの陣営も掲げて目立っているのが消費税負担を減じるという方針だ。システムとして難しいとずっと否定してきた自民党でさえ掲出してきた。また選挙の時だけなのかという冷めた見方もある一方で、臨床心理士の岡村美奈さんが、消費税に関する公約は有権者の判断にどんな影響を及ぼすのかについて解説する。
* * * 自民党が次期衆院選で時限的とはいえ消費税率ゼロを公約に盛り込むことを検討しているという。党内ではずっと反対論が強く、石破茂前首相も立憲民主党の野田佳彦代表との討論会で、各店舗のレジのシステム変更に1年かかると述べていたこともある。即効性がないと反対していた党が打ち出した消費税対策は、有権者に対してどんな効果をもたらすのだろうか。
自民党は消費税減税に反対だった。給付金の方が早く実効性がある、消費税減税を行うには1年以上かかり、今の物価高対策にはならないと主張。レジの仕様変更にも、減税実施にも時間がかかる説明をしてきたのが自民党だ。だが当時、レジのシステム変更は一晩で、1日でOKという小売店の話が報じられたし、素人的にはテイクアウトと店内で別々の消費税を課すという面倒で複雑なシステムより、消費税をゼロにする方が導入は楽だと思う。
連立を組んだ日本維新の会とは、維新の公約に沿って「飲食料品について2年間に限り、消費税の対象としないことを視野に法制化を検討する」という合意を結んでいるため、減税路線に転じても、反対する所属議員を説得しやすいといえる。公明党と立憲民主党が結党した中道改革連合が、”生活者ファースト”として選挙公約に消費税ゼロを打ち出すというし、各野党も消費税減税を打ち出してくる。物価高は進むが賃金がアップしない今の日本で、減税路線に転じなければ国民目線の印象は薄れる。中道の生活者ファーストや参政党が掲げている”日本人ファースト”という表現は、それだけ有権者へのアピール度が強い。
これまでの物価高対策に矛盾を感じている有権者も多い。給付金の話が出るたびにバラマキといわれ、令和の米騒動で浮上したお米券配布も批判された。早いし実効性があると言われても常に不公平感が付きまとう。給付金配分にかかる多額の費用や、配布する市町村等の役所や現場で起こる混乱と疲弊は、その度に報じられてきた。ネット上では配布費用を無駄とする声も多く、財源確保や財政への信頼を求める姿勢と矛盾すると感じる有権者も多い。徴収したものを配布するより、減税の方が合理的だ。