「どちらがヤクザかわからない」大阪府警の“マル暴刑事”がトクリュウ容疑者をボコボコに…反社勢力すら震え上がらせた“行き過ぎた捜査”の顛末

大阪府警の捜査員が家宅捜索中に捜査対象者を暴行した事件で、府警は1月23日、懲戒免職や戒告など計35人の処分を発表した。
事件は昨年7月、国内最大の違法スカウトグループ「ナチュラル」の関係先を28人で捜索した際に発生。捜査四課の捜査員が、押収したスマートフォンのロック解除に応じなかったナチュラルのメンバー3人を押さえつけて殴ったとして、特別公務員暴行陵虐容疑で時長力警部補(51)と阪口裕介巡査部長(33)が逮捕・起訴。
その後さらに4人が在宅起訴された。社会部記者の解説。
「捜査員はナチュラルが使用する独自開発アプリの解析に躍起になっていた。『暴行の様子を記録したカメラ映像はない』と虚偽の報告をした警部が犯人隠避容疑で書類送検されるなど組織的な隠蔽の疑いも指摘され、警察庁から出向していた刑事部長(当時)も含め上司も監督責任を問われた。一度にこれほど大量の処分者が出るのは極めて異例だ」
「どちらがヤクザか分からない」と言われていた
大阪府警の捜査四課といえば、「マル暴」と呼ばれる全国の暴力団担当刑事の中でも、関西を拠点とする山口組などと長年対峙してきたことから「コワモテの鬼軍団」として知られている。
現場で怒鳴り声をあげる様子がテレビなどで度々報じられ、「どちらがヤクザか分からない」と言われるほどだった。
「『桜(警察)の代紋を付けたヤクザ』とも言われ、府警の厳しい取り調べを受けるくらいなら別の県で事件を起こして逮捕される方がマシだと言われることさえあった」(暴力団関係者)
なぜ“行き過ぎた捜査”が表沙汰になったのか?
府警四課内ではこれまでも指摘されてきたという「行き過ぎた捜査」も、暴力団相手には表沙汰になることはなかったという。
「デカ(刑事)に殴られて痛がっているようではヤクザなど務まらない。反社会的勢力としての自覚もあり、抗議などすれば恥というのが通念だ」(同前)
一方、「今回逮捕されたナチュラルのメンバーは弁護士を通じてすぐに被害を訴え、全員を釈放せざるをえなくなった」(捜査関係者)。
「若い奴らに同じ捜査手法は通用しない」
20代を中心に約1500人を抱えるナチュラルは「匿名・流動型」犯罪集団だが、暴力団とも協力関係にあることから府警では四課が受け持っていた。警察幹部は苦々しく振り返る。
「トクリュウの若い奴らに暴力団捜査と同じ捜査手法は通用しないということを、根本的に分かっていなかったのだろう」
昨年11月には、捜査情報を漏洩した警視庁警部補が逮捕される前代未聞の不祥事も発覚するなど、関係者の間では「鬼門」と囁かれるナチュラルの捜査。
1月26日には、指名手配していたナチュラルの会長・小畑寛昭容疑者(40)を警視庁が逮捕した。警察の信頼回復に向けた捜査の進展に注目が集まる。
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年2月5日号)