退職代行「モームリ」社長と妻を逮捕、顧客を弁護士にあっせんし違法に報酬得た疑い…取材に「通知役に徹している」

退職手続きの代行業務を報酬目的で弁護士にあっせんしたとして、警視庁は3日、退職代行サービス「モームリ」運営会社「アルバトロス」社長の谷本慎二(37)(東京都中野区白鷺)、妻で同社社員の女(31)の両容疑者を弁護士法違反(非弁行為)容疑で逮捕した。東京都内の二つの法律事務所に顧客計約200人を紹介し、計数百万円の報酬を得ていたとみている。
発表によると、2人は2024年7~10月、弁護士資格がないにもかかわらず、報酬を得る目的で、退職を希望する20~50歳代の男女6人の勤務先との交渉事務を提携する弁護士らにあっせんした疑い。2人とも「弁護士法違反になるとは思っていなかった」と容疑を否認している。
同法は、弁護士資格がない人が法律事務を報酬目的であっせんする「非弁行為」や、弁護士が無資格者から顧客の紹介を受ける「非弁提携」を禁じている。
モームリの料金は正社員が2万2000円、パート・アルバイトが1万2000円だった。同社では谷本容疑者が業務を統括し、未払い賃金などを勤務先に請求したい顧客を弁護士に紹介する場合は、妻が窓口を務めていた。
弁護士側からは、紹介料として、同社が提携先とする「労働環境改善組合」への賛助金や広告の業務委託費名目で、1人あたり1万6500円の報酬を得ていたとされる。
同庁は同組合や広告業務に実態はなく、顧客の紹介料を隠す狙いがあったとみて、法律事務所の弁護士らから同法違反(非弁提携)容疑で事情を聞いている。
谷本容疑者は昨年7月、取材に対し、「弁護士には法律的な紛争が起きそうな場合に顧客を紹介しているが、報酬は得ていない」と話していた。
退職代行は本人に代わって勤務先に退職の意向を伝えるサービスで、同社は22年3月に事業を開始。民間調査会社などによると、従業員約70人。25年1月期の売り上げは約3億3000万円で、2期連続の大幅増収だった。
同庁は昨年10月に同社や法律事務所などを同法違反容疑で捜索していた。
谷本慎二容疑者は昨年7月、読売新聞の取材に応じていた。主なやり取りは次の通り。
――御社の退職代行業務が非弁行為にあたるのではないかとの議論がある。
「(退職希望の)通知役に徹しているので、非弁行為にはあたらない」
――法律的な紛争が起きそうな場合は。
「(依頼者が)未払い金や残業代請求の話をしたい場合は、全て弁護士をお勧めしている」
――弁護士の紹介は弁護士法に触れないか。
「弁護士がうちにお金を出してきたら非弁提携にあたるが、無償で紹介している。相談先として労働基準監督署や警察も紹介している」
――依頼者から金を受け取った上で弁護士を紹介しているのか。
「法律的な紛争が起きそうな場合は契約前に弁護士を紹介している。契約前に弁護士に流した案件は何百件、何千件とある。これが非弁提携なら紹介しないが、弁護士から何か言われたことはない」