「道を断つ責任を負えるのか」自民圧勝で「愛子天皇論」に暗雲、皇室専門家が主張する“国民投票”

2月8日に行われた衆議院選挙の投開票。自民党が単独で316議席を獲得し、歴史的な勝利を飾った。
「高市首相は解散を発表した1月19日の会見で皇室典範の改正に言及。皇族数の減少を受け、これまで主に“女性皇族の身分を結婚後も保持する”と“旧宮家の男系男子を養子に迎え入れる”という2案について議論がされてきました」(全国紙記者、以下同)
男系男子の継承を優先か
自民党の圧勝は、皇室典範をめぐる長年の議論に終止符を打つ可能性を秘めている。
「皇室典範は法律の一種です。自民党は定数の3分の2を超える議席を獲得したため、仮に参議院で否決された場合でも、衆議院での再可決が可能に。皇室というセンシティブな問題を強行採決するとは思えませんが、数の上ではその力を持ったということです」
『週刊女性』は投開票前に自民党にアンケートを実施。回答を基に、皇室典範の改正の行方、女系天皇の是非について専門家に予測してもらった。 近現代の皇室制度に詳しい静岡福祉大学の小田部雄次名誉教授は、こう解説する。
「今回の選挙で、女性・女系天皇を支持していた勢力が後退したことで、男系男子の継承を優先する与党の動きが強まる可能性はあります。
とはいえ政府には、消費税や憲法改正、山積する経済・外交など優先すべき課題が多々あります。それらを差し置いて、皇室典範改正を急ぐのは得策とはいえないでしょう。
そもそも高市氏ご自身も女性天皇を完全に否定しているわけではありません。支持基盤である保守層が重視する“男系男子”という建前を強調している面もあります。今後の状況次第でスタンスが変化する余地は残されています」
“愛子さまの天皇への道”
しかし、皇族減少問題への対策については、早急に取りかかる必要がある。
「愛子さまがどのような道を選ばれるのかは未知数ですが、女性・女系天皇への道が閉ざされれば、愛子さまや佳子さまは、ご成婚を機に皇室を離脱される可能性は十分あります。その場合、皇族数の確保はさらに困難を極めるでしょう。
一方で多くの政党が支持する“旧宮家の皇籍復帰案”が具体的にどこまで実現可能なのかは不透明なままです」(小田部名誉教授、以下同)
世論は「愛子天皇」を望む声が根強く、国会の議論との間には大きな乖離がある。
「現在、多くの国民が期待を寄せる“愛子さまの天皇への道”を断つという歴史的な責任を負える政治家は、はたしているのでしょうか。議論が尽くされない状況では、国民の目には数の力を背景にした強引な手法と映るはずです」
この深い溝を、今後どう埋めていくべきなのか。
「自民党や維新の会の方向性を修正させることは容易ではありません。ただ、皇室典範の改正を誰がどこで決定するのかというプロセスと、それに対する国民の合意形成をどのように図っていくかが、極めて重要になります。
これほどまでに国会議員の意見と国民の意見が隔たり、かつ国家の根幹に関わる重要な問題であれば、署名運動だけでなく、皇室典範の改正の是非を問う“国民投票”のような働きかけも検討に値するでしょう。その際、女性・女系天皇の是非を選択肢に含めることは、議論の前提として必須だといえます」
小田部雄次 静岡福祉大学名誉教授。日本近現代皇室史を専門とし、『皇室と学問 昭和天皇の粘菌学から秋篠宮の鳥学まで』など著書多数