「炎が7、8メートルの高さまで」 下関の寺で火災、死者5人に

20日午前2時25分ごろ、山口県下関市豊浦町の住民から「川棚漁港の方から火と煙が見える」と相次いで119番があった。市消防局によると、豊浦町川棚の正琳寺(しょうりんじ)と隣接する倉庫、空き家の計3棟を全焼。約3時間後に鎮火したが、焼け跡から5人の遺体が見つかった。
県警小串署などによると、寺には前住職の岩崎恵弘さん(89)、現住職の50代男性と妻の40代女性、その子どもの10代男性と10歳未満の女児の家族5人が暮らしていた。全員と連絡が取れていないという。
現場はJR山陰線川棚温泉駅の北西約1・3キロの住宅街の一角。正琳寺は浄土真宗本願寺派。同派山口教区によると、1594年に和歌山県で開基され、焼けた寺は1917年に建てられた。近所の男性(81)は「住職は『足が痛くて法事に行けない』と断っていたこともあった」と振り返る。檀家(だんか)の男性(77)は「昨秋に寺で住職の講話を聞いた。女の子が母親の手伝いをしていて皆にお茶を出していたのを覚えている」と話し、安否を気遣った。
出火当時、現場を近くで目撃した男性(69)は「午前2時ごろ、パンパンと何かがはじけるような音が聞こえた。2階の窓から見たら炎が7、8メートルの高さまで上がっていた。怖いと思った」。別のパート従業員の女性(69)も「午前2時半ごろ、息子に起こされて火事を知った。炎が大きく上がり、火の粉が散っていた。警察が避難を呼び掛けたので近くの川まで逃げ、その後は夜が明けるまで集会所にとどまった」と声を震わせた。【脇山隆俊、山本泰久、藤田宰司、平野美紀】