米軍基地周辺からPFAS検出 沖縄県審査会、公害調停の申請却下

沖縄県内の米軍基地周辺の河川や湧き水から発がん性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)が高濃度で検出されている問題で、県公害審査会(会長・小林郁子弁護士)は三つの市民団体が共同で公害紛争処理法に基づいて提出していた公害調停の申請を却下した。市民団体は国の関係各省に対し、基地への立ち入り調査などを求めていたが、審査会は公害紛争処理法に「防衛施設」を調停の適用外とする規定があることから、「不適法」であると門前払いした。
一方、審査会は基地周辺のPFAS汚染の問題は環境基本法で定める「水質の汚濁」の公害に該当すると判断。全国的にもPFAS汚染の事例が報告されているとして、国に対し、実態調査や法規制などについてさらに積極的に取り組むよう求めた。審査会の決定は6日付で、20日に市民団体に送付された。
市民団体によると、PFASに関する公害調停の申請は全国で初めてだったとみられる。申請した団体の一つで、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の周辺住民らでつくる「宜野湾ちゅら水会」の町田直美代表は「却下の決定や、基地由来の公害とはっきり認定されなかったことは悔しいが、行政として初めてPFAS汚染を公害と認めたことは評価したい」と話した。今後、被害救済の手立てとして国会による立法措置の要請や訴訟の提起などを検討する。
三つの市民団体は2025年10月、米軍嘉手納基地(嘉手納町など)や米軍普天間飛行場周辺の河川や湧き水などから高濃度のPFASが検出される問題について、「国は水質汚染公害の拡大防止や情報開示の努力を十分しておらず、結果として住民の生活環境が著しく損なわれ続けているのは不作為だ」として、公害調停を申請。防衛、外務、環境、厚生労働の各省に対し、立ち入り調査の実現の他、水道水などのPFAS除去対策費の負担や住民の血液検査などを求めた。
これに対し、弁護士や流体工学、有機化学などの専門家ら11人で構成する審査会は、公害紛争処理法の規定を理由に「これら飛行場を起因として(PFASの一種である)PFOS等による水質汚濁があったとしても、審査会によって調停手続きを行うことは法の予定していないところだ」として却下した。一方、「(申請者側が)不安を抱くのはもっともなところだ」として、国に実態調査などを求めた。
政府は基地周辺のPFAS検出と米軍の因果関係について認めていない。県は汚染源の特定と除去のため、基地内の立ち入り調査を求めているが、日米地位協定に基づき基地の管理権を持つ米軍は、調査の実施を認めていない。【比嘉洋】