高市早苗首相は28日、米、イスラエル両軍によるイラン攻撃を受けて「日本政府としてあらゆるリスクに備え、万全の対応を行っていく」と表明した。自身のX(旧ツイッター)に記した。中東情勢の一層の悪化と長期化は避けられないと懸念しており、経済や安全保障への影響を最小限に食い止めるため関係国と連携して対処する方針だ。
政府は28日夜、首相や茂木敏充外相、小泉進次郎防衛相らが出席して国家安全保障会議(NSC)を首相官邸で開き、情勢報告を踏まえて今後の対応を協議した。当面の措置として、中東地域に在留する邦人の保護に全力を挙げる。
これに先立ち、首相は官邸で記者団の取材に応じ、情報収集を徹底するよう関係省庁に指示したと説明。イランとイスラエルに限らずバーレーンやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)といった周辺国についても邦人の安否確認と安全確保、脱出路としての海空路の状況把握を命じたと明らかにした。
「今後予想される経済的影響」の洗い出しも指示したという。攻撃に関する評価は避けた。
攻撃の一報を受け、政府は官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置した。外務省によると、イラン在留邦人は約200人。現時点で被害の報告はないという。
外務省は28日、中東の米軍基地に近づかないことや商用便の欠航に備えて早めに退避することなどを、近隣地域を含めて広く呼び掛けた。
日本は原油の9割超を中東からの輸入に頼っており、シーレーン(海上交通路)の安全は死活的に重要。中東の混迷により、米国の東アジア安保への関与が相対的に低下する可能性もある。
日本はイランと独自の友好関係を保ってきた。唯一の同盟国である米国との間で板挟みの状況になっており、今回の攻撃に対する態度表明には苦心しそうだ。
昨年6月に米国がイランの核施設を空爆した際、当時の石破茂首相は賛否を示さず、トランプ政権に最大限配慮した。高市首相は3月19日に日米首脳会談に臨む。ロシアによるウクライナ侵攻などで「法の支配」が揺らぐ中、首相の対応も焦点となる。 [時事通信社]