自民人事は「改憲シフト」、高市首相「かなり熟してきた」…首相周辺「完全に改憲を狙いにいく態勢だ」

自民党は衆院選で歴史的大勝を収めたことを受け、党是とする憲法改正の実現に向けて勢いづいている。高市首相(党総裁)は衆院人事で「改憲シフト」を敷き、自身の任期中に改憲の国会発議の実現を目指すが、改憲項目の絞り込みや参院での多数派工作など越えるべきハードルも多い。
首相は2月18日の記者会見で、改憲論議について「かなり熟してきた。少しでも早く改正案を発議し、国民投票につながるよう自民として粘り強く取り組んでいきたい」と強調した。
国会での改憲論議は、2024年衆院選で自民が大敗したことを受け、進展しない状況が続いた。ただ、自民は2月の衆院選で、国会発議に必要な3分の2を超える316議席を獲得。第2次高市内閣発足後の読売新聞社の緊急世論調査では、首相在任中の改憲議論の進展に「期待する」が57%に上り、世論も醸成されつつある。
改憲への首相の意欲は人事からも明らかだ。衆院議長には過去に衆院憲法審査会長を2度務め、党憲法改正推進本部長などを歴任した森英介氏を起用した。憲法審査会長には、推進本部を改組した党憲法改正実現本部長を21年から約4年務めた古屋圭司氏を充てた。
憲法審の運営を野党と調整する与党筆頭幹事には、18年から約5年間務め、野党の反発を抑えて憲法審の毎週開催を定着させた新藤義孝氏を再登板させた。首相周辺は「完全に憲法改正を狙いにいく態勢だ」と解説する。
もっとも、実際の改憲発議には課題も多い。当面の焦点は具体的な改憲項目の絞り込みだ。
自民は、憲法9条への自衛隊明記や、大規模災害時などの緊急事態対応を含む4項目の条文イメージを提示している。25年6月には、自民、日本維新の会、公明、国民民主の各党で緊急時に国会議員任期を延長する改憲の骨子案をまとめたが、参院側では「災害などが起こった時は憲法が定める参院の緊急集会で対応すればいい」との声が自民内でも根強い。
憲法審の開催がいつになるかにも注目が集まる。26年度予算案の審議中に憲法審を開催すれば野党が反発する可能性があり、首相が目指す予算案の年度内成立に支障を来す恐れがある。
改憲発議には衆参両院それぞれで3分の2以上の賛成が必要だが、参院では与党の議席が過半数に満たない。自民幹部は「衆院で改憲議論を進めることで、参院ではなぜ進まないのかという世論を喚起する必要がある」と語る。