白血病の10代が死亡「使用されるはずのない薬液が」 3人から検出された“ビンクリスチン”とは 事件?事故?…原因究明は

埼玉県立小児医療センターは11日、白血病治療で抗がん剤の髄腔内注射を受けた3人が重篤な神経症状を発症し、10代男性の1人が死亡したと明らかにしました。第三者を入れた調査によると、3人の髄液から別の薬液を検出。原因の究明を続けるといいます。
11日に会見を開いた、埼玉県立小児医療センター。岡明病院長は「当センターにおいて、白血病治療のために抗がん剤の髄腔内治療を実施した後、複数の患者さまに重篤な神経症状が発症いたしました」と明らかにしました。
複数の患者とは、白血病を患う10歳未満の男児と、2人の10代男性です。3人は抗がん剤を背中から脊髄の周辺に注射する髄腔内注射という治療を受けていましたが、治療後に歩行困難など重篤な神経症状を発症しました。
10代の男性1人が亡くなりました。2人は意識不明の重体で、現在人工呼吸器で治療中だといいます。
去年1月~10月に実施されたという3人の治療。病院は3人目の発症を受けて異常だと感じ、第三者を入れた調査を実施したといいます。
岡病院長
「患者さんから採取した髄液の検査を分析機関へ依頼したところ、本来、抗がん剤の髄腔内注射では使用されるはずのない別の薬液が検出されました。(別の薬液とは)『ビンクリスチン』」
この薬液が重篤な症状を起こした可能性が高いといいます。
どんな薬液なのでしょうか。男性が亡くなった病院とは関係のない板橋中央総合病院で11日夜、薬剤師に聞きました。
薬剤師
「白血病とか悪性リンパ腫の治療で主に用いられる薬剤です。静脈内に投与する薬で『禁髄腔内』ということで、髄腔内には投与してはいけない薬剤になります」と説明します。
──(髄腔内注射で)投与してしまったら?
薬剤師
「患者さんに重大な副作用が起きるので禁忌に設定されています。準備の段階で確認しているので、基本的には間違えることはない」
本来は血管への注射で使用されるという薬液で、髄液から検出されることは基本的にはないといいます。
どこかで混入したのでしょうか。
会見で言及されたのは主に3つのタイミングです。薬剤師が薬液を調剤するタイミング、看護師などが薬液を移動させるタイミング、医師・看護師がいる患者への投与のタイミング。ただ、いずれの過程も異常はなかったといいます。
調査対策委員会の委員長
「調剤した薬剤師は、血液・腫瘍科担当の中の複数の中からですが、そこまでしか申し上げられない」
病院は事件と事故両方の可能性があるとして警察に届け出ていて、引き続き原因究明を行うとしています。
佐藤梨那アナウンサー
「ここまでに分かっていることを整理します。白血病の治療のため、抗がん剤を背中から脊髄の周辺に注射する髄腔内注射を受けた3人。1人目の患者は去年1月に、2人目は去年3月に、3人目は去年10月に注射が行われました」
「そして今年2月、3人の髄液から使用上の注意で髄腔内への投与が禁止されているビンクリスチンという薬液が検出されたとの報告を受け、この薬液が重篤な神経症状の原因となった可能性が高いと結論づけられたということです」
「このビンクリスチンは副作用として神経障害が現れることのある劇薬で、静脈注射で投与されるものです。では、ビンクリスチンはなぜ髄液から検出されたのでしょうか?」
「11日の病院の会見によると、抗がん剤の投与に使用した注射の中にビンクリスチンが入っていたかどうかは分かっていません」
「また、病院で保管されているビンクリスチンの量が減っているのか確認できたのかと問われると、『調査の段階なので答えられる内容はない』としていて、いまだに原因究明には至っていないということです」
(2026年3月11日『news zero』より)