長野県は新年度から、クマを捕獲した猟友会員らを対象に、1頭当たり8000円の報奨金を支給する。昨年、全国的にクマの出没や人身被害が多発したことを受けた対応で、捕獲態勢の強化を目指す。また、減少が続くハンターのモチベーションの維持にも役立てる狙いがある。
県森林づくり推進課によると、今年度の県内のクマの目撃件数は6日現在の速報値で、1317件。人身被害は11件、16人となっている。昨年は例年目撃件数が減少する10~12月も件数が減らず、3か月間の目撃件数は前年同期比で311件増加し、435件だった。
県が支給する報奨金は国の交付金を活用し、新年度予算案に約2億4000万円を計上。支給額は交付金の決まりの中の上限額を設定した。捕獲に対する報奨金は、これまでシカやイノシシ、サルなどを対象としており、クマは保護を目的に対象から外れていたが、今回初めて加わった。
クマの捕獲に対する報奨金などの支給の有無やあり方を巡っては、自治体ごとにばらつきがある。安曇野市は猟友会と委託契約し、クマを1頭捕獲すると、9万1600円を猟友会に支払う制度を運用している。一方、同課が昨年11~12月に県内全市町村に実施したアンケートでは、独自の報奨金制度を設けていない自治体もあったという。
同課によると、県内の狩猟免許所持者は2024年度に延べ6772人で、統計を取り始めた07年度の同9758人から3割減っている。
こうしたことから、県は報奨金の支給で、ガソリン代などハンターの活動費用の負担が減り、態勢維持につながることも期待している。
県猟友会の佐藤繁・常務理事兼事務局長は「今回の県の取り組みが、これまで報奨金制度がなかった自治体でも新たに制度を設ける呼び水となる可能性があり、一歩前進と言える」と評価。一方で、現場まで行くためのガソリン代など猟友会員の負担は重く、「金額が足りない」という声も上がっているという。
佐藤さんは「現地まで行っても捕獲できず、無駄足になってしまうケースもあり、報奨金制度では構造的にすくいきれない部分もある。そうしたケースへの支援にも踏み込んでもらえるとありがたい」と話している。