【ワシントン=堀和彦、阿部真司】高市首相は19日(日本時間20日)、米ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。イランが事実上封鎖するエネルギー輸送の要衝ホルムズ海峡を含めた中東情勢の安定に向け、緊密に連携していくことで一致した。トランプ氏はホルムズ海峡を巡る日本の対応を評価し、首相は初訪米でトランプ氏との結束を確認することに成功した。
会談は茂木外相と赤沢経済産業相らが同席して約1時間半行われ、その後、夕食会も開かれた。米国がホルムズ海峡への艦船派遣を同盟国などに要求して以来、先進7か国(G7)首脳でトランプ氏と対面で会談するのは首相が初めて。
会談は冒頭から和やかなムードで行われた。トランプ氏は首相を「選挙で勝利した偉大な女性」と持ち上げ、首相は「世界の平和と繁栄に貢献できるのはドナルドだけだ」とたたえた。
イラン情勢については首相が切り出し、「イランの核兵器開発は許されない」とした上で、周辺国への攻撃やホルムズ海峡の封鎖を非難した。トランプ氏はホルムズ海峡を巡る日本の取り組みに関し、「自ら責任を果たそうとしている。北大西洋条約機構(NATO)とは違う」と語った。
首相は「世界のエネルギーマーケットを落ち着かせるための提案も持ってきた」と述べ、日本がエネルギーの安定供給で米国に貢献する意向を前面に打ち出した。首相は会談で、日本の投資によって米国産原油を増産し、増産分を日本で共同備蓄する計画を提案した。
日本側の発表によると、トランプ氏は会談でホルムズ海峡の安全な航行確保への貢献を求めた。首相は会談終了後、艦船の派遣について「機微なやりとり」があったと記者団に語った。「法律の範囲内で出来ることと、出来ないことがあるときっちり説明した」とも述べた。
両首脳は、日本が提唱する「自由で開かれたインド太平洋」構想の推進や、ミサイルの共同開発・生産について協力することを確認した。日本側によると、トランプ氏がかねて要求していた防衛費の増額では、具体的な数値目標を求められることはなかったという。
両首脳は台湾問題を巡り、武力による一方的な現状変更の試みに反対することで一致した。北朝鮮による拉致問題については、首相が日朝首脳会談を希望する意向を伝え、トランプ氏が全面的な支持を表明した。
トランプ氏は首脳会談に先立ち、ホルムズ海峡への対応を巡って同盟国への不満を繰り返し表明していたことから、日本政府内には厳しい会談になるとの警戒感が強かった。政府高官は会談終了後、「大成功だ。トランプ氏も満足していた」と語った。