オウム真理教による地下鉄サリン事件から20日で31年となった。事件を機に、警察の摘発などで教団の勢力は大きく減衰したものの、後継団体は活動を続けている。拠点施設周辺では住民が抗議活動をするが、事件を知らない世代も増え、警察当局も風化対策を進めている。
抗議活動継続に暗雲
「サリン事件を忘れないぞ」。2月28日、後継団体の主流派「アレフ」の施設がある足立区で、「足立入谷地域オウム真理教(アレフ)対策住民協議会」メンバーや近藤弥生区長ら約110人がデモ行進し、気勢を上げた。足立区入谷のアレフ施設前につくと、参加者の1人が「解散するまで戦う」などと書かれた抗議文を読み上げるなどしたが、アレフ側からの反応は見られなかった。
公安調査庁によると、アレフが入谷の施設に入ったのは平成22年で現在も出家信者約40人が住んでいる。今年2月の立ち入り検査では、オウム真理教元教祖の麻原彰晃元死刑囚=本名・松本智津夫、執行時(63)=の写真も確認された。公安関係者は「何も変わっていない。事件を反省することなく危険性を維持している」と指摘する。
住民協議会はアレフが入谷に進出して、まもなく結成。横山修平会長(70)によると、年2回の抗議活動や団体規制法に基づく観察処分の更新に向けた署名活動などを続けている。
一方で、課題も山積する。現協議会の主要メンバーは10人足らずで発足時の約3分の1。横山さんが最年少だ。社会の関心の低下も顕著で、街頭で署名活動をしていると「(アレフが)何か悪いことをしたのか」と言われたこともあったという。横山さんは「事件を考えたら反対運動は当然だ」としつつも「いつ活動できなくなるか分からない」と声を落とす。
手口知り対策を
《だまされないで。それオウムです》。関心の低下や記憶の風化を踏まえ、警視庁は3月、オウム真理教や後継団体の実態、勧誘の手口について紹介するこんな動画を公開した。動画では教団が地下鉄サリンを始めとする凶悪事件を起こすに至った経緯を紹介。後継団体は正体を隠して若者に接近し、周囲から孤立させた上で入信を勧めるという手口も示す。
「サリン事件から30年以上が経過して関心が薄れ、事件を知らない若い世代がターゲットになりやすい」。警視庁幹部は注意を呼びかけている。(宮野佳幸)