当時15歳の元少年による殺人 福岡高等裁判所が元少年の母親に損害賠償命じる逆転判決

6年前に福岡市内の商業施設で起きた殺人事件をめぐり、当時15歳の元少年に殺害された女性の遺族が、元少年の母親にも責任があると訴えている裁判で、福岡高等裁判所は25日、元少年の母親に損害賠償の支払いを命じる判決を言い渡しました。
この事件は2020年8月、福岡市の商業施設で、当時15歳の元少年が面識のない当時21歳の吉松弥里さんを包丁で刺し、殺害したものです。
元少年は懲役10年以上15年以下の判決が確定し、服役しています。
吉松さんの遺族は3年前、元少年の犯行について「親権者である親にも責任がある」として、元少年とその母親を相手取り、7800万円余りの損害賠償を求めて提訴しました。
1審の福岡地方裁判所は元少年に対し、約5400万円の損害賠償を命じた一方、元少年が事件直前まで4年半にわたり少年院などに入っていて親元にいなかったことなどを理由に、母親の「監督義務違反」を認めませんでした。
そのため、吉松さんの遺族は元少年の母親に対してのみ控訴していました。
25日の判決で、福岡高等裁判所の松田典浩裁判長は「元少年の母親は、元少年が入所していた施設の職員とのやり取りなどを通して、元少年が他者に重大な危害を加える恐れがあることを具体的に予見していた」と指摘しました。
また「元少年が仮退院する前後に母親が指導監督を怠らなければ、事件を防止することができた」として、母親の監督義務違反を認めました。
そして、1審判決を変更し、母親に対し元少年と連帯して遺族に約5400万円を支払うよう命じました。
判決を受け、吉松さんの母親は次のように話しました。
■吉松さんの母
「やっぱり私たちの言っていることが正しいんだって。本当にうれしいです。」
元少年の母親について「親権者としての当事者意識を欠いている」とも指摘した今回の判決について、吉松さん側の弁護士は、親元を離れていた少年による事件の裁判で親の責任を認めた例は少なく、想像していた以上に踏み込んだ判決だったとしています。
それでも、吉松さんの母親の胸からは、娘を奪われた悔しさが消えることはありません。
■吉松さんの母
「事件が起きてからの6年間、弥里の命を軽く扱われたような気がして、本当に苦しかったですよ。毎日毎日、歯を食いしばって寝て、眠れなくて。でも私たちは間違ったことを何一つ言ってないって。殺しているんですよね。殺されたんですよ。悔しい。自分たちがしたことを償いながら生きてくださいって言いたいです。償ってほしいです、ちゃんと。」