「警視庁捜査2課」かたる男は絶句ししどろもどろに…ニセ警官、かけた電話の相手は本物の警察署員

「高知県警から警視庁本部に捜査の協力要請を受けて連絡させていただきました」――。警視庁捜査2課の警察官をかたる男から、勤務中の岩手県警久慈警察署の男性署員のスマートフォンに電話がかかってきた。機転を利かせた署員は上司と連携して通話を録音。生々しいやりとりを動画投稿サイトユーチューブで公開し、詐欺被害への注意を呼びかけている。(坂本俊太郎)
県警生活安全企画課によると、電話がかかってきたのは2月17日正午頃。男は署員に対し、「現在、捜査対象者に名前が挙がっている」「本来であれば高知県警本部まで身分証を持ってきてほしいが、緊急なので警視庁での電話対応に切り替えた」と連絡があった。さらに「ネットショッピングはしていないか」「顔写真付きの金融機関のアプリは入っていないか」と尋ね、個人情報が漏えいしていると説明した。
その上で、ある女性をはじめとする詐欺グループの事件捜査で署員名義の銀行のカードが見つかったと話し、「疑いがかかっている」と不安をあおった。その後、男は女性と関係があるかを尋ねた。
そこで署員は「あるかもしれない」と回答。男にとっては想定外の答えだったと思われ、しばらく男は絶句。男がしどろもどろになったところで、すかさず署員が「近くにいるので警視庁に出頭する」「今から伺う。高知県警本部ですね」「飛行機で行く」と続けると、男は「いいかげんにして」「もう失礼する」と電話を切った。
署員が機転を利かせたのは、国際電話であることを示す「+」で始まる発信番号だったからだ。署員とともに対応にあたった同署の佐久山慶大副署長は「『詐欺に注意』といっても、内容は聞いてみないとわからないことが多い。この音声を地域の防犯活動にも活用し、被害を未然に防ぎたい」と話す。
警察庁では今月、詐欺の疑いがある電話番号からの着信をブロックする機能を備えたスマートフォン向け民間アプリを「警察庁推奨アプリ」として認定。アプリのインストールを推奨し、被害防止に力を入れている。
県警生活安全企画課によると、昨年認知した特殊詐欺被害のうち、ニセ警察官をかたる詐欺の被害額は約7億170万円。全体の被害額の8割以上を占めるほど、被害が深刻化している。担当者は「国際電話は詐欺の可能性が高い。固定電話では国際電話の利用休止を申し込むなどして、対策を徹底してほしい」と呼びかけている。