北九州市で4月、犯罪被害者を支える新たな条例が施行されました。過去に強盗被害に遭い、消えない傷を抱える福岡県内の女性は、犯罪被害者が孤立しない社会になることを願っています。
■女性
「就寝中に、息が苦しくて目が覚めたんです。目を開けた瞬間に、犯人が上から見下ろしていたんです。刃物を持って、静かにしろ。騒ぐとお母さん殺すぞって。」
福岡県内に住む60代の女性。1985年8月、20代のとき、自宅で寝ているところを何者かに襲われました。女性は、犯人から現金を奪われ、頭や目をテープで巻かれて目隠しをされました。
■女性
「大声を張り上げて、悲鳴を上げて暴れたんですよ。足も手もバタつかせて。」
必死で抵抗した女性の両腕には、ナイフで切りつけられた痕が今も残っています。
警察は強盗致傷事件として捜査しましたが、逃げた犯人は捕まらないまま、時効を迎えました。
事件後、しばらくは当時の記憶がよみがえり、パニック発作や過呼吸で救急搬送されることも多くありました。
■女性
「本当に何も、無の状態でした。もう、息するのがやっと。生きていることが苦しかったです。」
外出すらできず、誰にも相談できない孤独。女性は深い「生きづらさ」を抱え続けてきました。
犯罪被害者の支援を巡っては4月1日、北九州市で新たな条例が施行されました。
■北九州市・武内市長
「まだまだ、犯罪被害者の方に対する社会の当てている光、差し伸べている手は十分ではない。こういう声を何度も聞いてきました。ここに応えられる日本社会をみんなで作っていくことが大事だと思います。」
これまで行われてきた見舞い金の支給に加え、今回の条例では新たに、精神的な被害から回復するためのカウンセリング費用が1回あたり1万円を上限に助成されます。
また、二次的被害や再び被害を受ける恐れがある場合の転居費用や防犯対策費用なども、新たに20万円を上限に受け取ることができます。
犯罪被害を誰にも相談できず長年苦しんだ女性。犯罪被害者や遺族が思いを話し合える場を作ろうと、5年前に自助グループ「つながり」を立ち上げました。
■女性
「一人で悩んでいらっしゃる方、私と同じように思い悩んでいる方がきっといるんじゃなかろうかと、ふと思ったのがきっかけです。」
事件から40年経った今も、当時を思い出すと、手のしびれや動悸が起き、感情のコントロールができず、涙を流すこともあるといいます。
それでも女性は、犯罪被害者を孤独にさせないために活動を続けています。
■女性
「犯罪被害に遭うってことは、こんなに苦しいんだ。人生が180度変わる出来事に遭ってしまう。苦しさは、どうしても伝えたい。」
犯罪被害者が抱え続ける終わりのない苦しみ。そこに寄り添う社会の理解と支援の輪が広がることを、女性は願っています。
※FBS福岡放送めんたいワイド2026年4月2日午後5時すぎ放送