住所、氏名、生年月日、年齢、電話番号だけでなく、稼ぎまで「ニセ刑事」に漏らしていた。
大阪国税局は15日、課税第1部所属の20代国税実査官が警察になりすました人物にだまされ、計259件の納税者情報を漏洩させたと発表した。
府内の税務署に勤務中の職員のスマホが鳴ったのは、今月13日午前11時ごろ。「千葉県警の警察官」を名乗る男からの電話で、「〇〇〇さんですね」と職員のフルネームを告げて「捜査の過程であなたに嫌疑がかかっています」と言って、ビデオ通話で警察手帳のようなものを見せたという。
「捜査2課の刑事」をかたる人物も登場。職業を尋ねられた職員が「税務署勤務です」と答えると、ニセ刑事は個人名を挙げて「この人物と無関係であることを証明するために保有している情報を送ってください」と要求した。突然、疑いをかけられた職員は冷静さを失い、パソコンで自身が扱う個人・法人の納税情報が記載された業務資料を開き、画面を撮影。写真108枚をLINEでニセ刑事に送信した。
漏洩したのは、個人および個人事業主179人分と80法人に関する情報。所得税や法人税の申告額、所得金額だった。
この職員は約2時間も離席。不審に思った同僚から事情を聞かれ、「警察から連絡が来て協力している」と説明したため「本当に警察か確認した方がいい」と指摘を受け、着信番号を検索したところ、詐欺事件に使われていることが判明した。
「画面越しに警察手帳を見せられ、信用した。自分の名前を告げられ、被疑者になっていると言われ、動揺してしまい、身の潔白を証明するために相手方の言いなりになってしまった」と話しているという。
「知らない着信番号だったが、名前をフルネームで言われ、千葉県警の警察官を名乗る男に矢継ぎ早に話をされ、信用してしまったそうです。税務署職員という立場にありながら納税者の情報を漏らしてしまった」(大阪国税局広報広聴室担当者)
二次被害は確認されていないというが、漏洩した情報が特殊詐欺グループのリストに載る可能性は高い。それにしても、国税局職員がコロッとだまされるぐらいだから、「迫真の演技」だったのだろう。