国が全国一斉で4月にスタートした「こども誰でも通園制度」。だが、三重県四日市市には子どもを受け入れる施設がない。こども家庭庁の最新調査によると、受け入れ施設がないのは全国で4自治体だけだ。森智広市長は14日の定例記者会見で、保育士不足の中で待機児童の解消を優先するためだとし、「どの自治体でも容易にできるということではない。全自治体での一斉開始は無理がある話だ。やらなければダメという烙印(らくいん)はつらい」と話した。
この制度は「異次元の少子化対策」の一つで、保護者が働いているかどうかに関係なく、子どもを保育所などに預けられる。多様な経験・育ちの支援、保護者のリフレッシュ・孤立防止が目的で、保育所などに通っていない生後6カ月~2歳が対象。利用上限は月10時間となっている。全世代から医療保険に上乗せして徴収する「子ども・子育て支援金」が財源だ。
こども家庭庁が3月31日時点の状況を調査したところ、受け入れ施設がない自治体は4市町村。中核市では四日市市だけだった。地元自治体に受け入れ施設がなくても、他自治体の施設に預けることができる。
森市長は会見で「待機児童をまず解消しないといけない。そのためには保育士の確保が必要だ。この制度も保育士の確保が必要なため、待機児童解消と相反しており、取り組むのは難しい」と説明した。
制度自体については「いいことだとは思う」としながらも、四日市は子どもの数が減っていない現状を挙げ、「待機児童がいるということは、働けない家庭があるということだ。そこを置いておいて、やるべきなのか」と述べて疑問を呈した。
一方で「税金(支援金)を払いながら恩恵を受けられないことは、申し訳ない。やろうという思いで必死に知恵を絞っているが、もどかしい状況だ」と述べた。
市によると、2024年度当初の待機児童数は72人で全国で3番目に多く、25年度当初は56人で4番目だった。今年度当初はまだ集計が出ておらず、昨年度よりは減少しそうだが解消は困難という。【荒川基従】