人口50万人を超える松戸市に、今年度の新入学児童がわずか1人となり、廃校の危機にある小学校がある。高度経済成長期に大規模団地が整備され、そこに住む子供たちが多く通った市立常盤平第一小学校だ。近年の少子高齢化や団地の老朽化で住民や児童数が減少。市教育委員会は、来年度以降の新入学児童の受け入れ停止に向け、学区の変更を今夏にも学区審議会に諮る方針だ。(新妻千秋)
3階建ての校舎に広々とした運動場、丸屋根の大きな体育館――。一周するのに10分近くかかる広い敷地の小学校だが、児童数はわずか30人。登下校の風景も寂しげだ。
常盤平第一小は1960年に創立された。東京都内の住宅不足を緩和するため、小学校と道路を挟んだ北と東側には、同時期に整備された常盤平団地の居住棟が整然と並ぶ。「東洋一のマンモス団地」と呼ばれた同団地には最盛期に約1万7000人が住み、第一小には71年度に最多の1612人の児童が通った。
だが、団地は入居開始から60年以上がたち、住民が高齢化。入居者数は最盛期の4割にも満たない約6000人に減った。団地の人口減少と昨今の少子化で、第一小の児童数も急激に減少。2021年度には100人を割り、今年度は30人まで落ち込んだ。このため複数学年の児童が同じ教室で授業を受ける複式学級を実施している。
ただ、児童数減少の理由は少子化や団地住民の減少ばかりではない。同市は、居住地の学区以外の学校に希望すれば入学できる「学校選択制」を採用している。このため、本来は第一小に通う児童が、近くの常盤平第二小や常盤平第三小に入学するケースも多い。
両校の児童数は維持・微減となっているが、第一小の新入生はここ数年1桁に落ち込んでいる。市教委はその理由について、「児童数が少ないことで、子供同士のグループ活動やコミュニケーションの不足につながるのではないかと、保護者らが不安を抱き、敬遠されるようになったのではないか」と分析。児童数の減少が“負の連鎖”に拍車をかけている可能性を指摘する。
今年度の同小の学区内の入学予定者は23人いたが、実際に入学したのは1人だけだった。
特異な状況での学校再編
こうした状況を踏まえ、市教委は今夏にも、来年度からの学区変更を学区審議会に諮問する方針だ。承認されれば、第一小の新入学児童の受け入れ停止が決定する。ただ、在校児童は第一小に通学し続けることはできるという。
波田寿一教育長は「ただちに廃校や統廃合というわけではない。50万人都市での特異な状況の中での学校再編」とし、「新入学児童の受け入れ停止を検討したうえで、来年度末までに学校の形態を含めた教育環境整備方針を策定する」としている。