警察官を装う「ニセ警察詐欺」で、女性がビデオ通話中に裸にさせられる被害が相次いでいる。「犯人の体にはタトゥーがある。違うなら脱いで証明してください」などと唆す手口で、昨年は全国で240件以上確認された。「裸の画像を流出させる」と脅され、さらに金を要求されるおそれもあり、警察当局が警戒している。(平野真由)
海外から着信
「あなたにも逮捕状が出ている」。大阪府警によると、府内の女性に昨夏、海外からの着信を示す「+」で始まる番号から電話があった。
ある県警の警察官を名乗る男から、「捕まえた詐欺グループがあなたの口座を持っていて、被害者のお金が振り込まれている」と告げられた。取り調べ目的でSNSでのやり取りを求められた。
ビデオ通話をしたところ、女性は制服を着た警察官風の人物に警察手帳のような物を見せられ、本物の警察官と信じた。金を口座に振り込まされた上、「犯人の体にはほくろがあるので、あなたの身体を確認する必要がある」と言われた。女性はビデオ通話のまま、上衣を脱いで裸を見られた。相談を受けた家族が不審に思い、被害が発覚した。
ニセの逮捕状を示されて「犯人の胸元にはタトゥーがある」と言われ、裸をビデオ通話で見られる被害も確認された。府内では昨年、未遂も含めて約30件の被害があった。被害者は、みな女性だったという。
トイレや入浴中も
警察庁によると、未遂や相談も含めた全国での認知件数は昨年、247件に上り、今年は3月時点で17件確認されている。被害者の年代別では、20歳代が47%で、30歳代が33%と若者が多いが、60歳代や70歳代の被害もあった。
裸を撮影させた上で「録音・録画をしている」「全国にばらまく」と脅されたケースもあったという。トイレや入浴中の映像の送信をビデオ通話で求められる被害もあった。
府警は「裸の画像をばらまく」と脅して金を要求したり、口止めしたりする狙いがあるとみている。担当者は「一度撮影させられてしまうと、画像や映像の流出におびえて過ごすことになる。警察がビデオ通話で取り調べをすることや、わいせつな行為を要求することは絶対にない」と呼びかけている。
警告表示や着信拒否、アプリで対策
ニセ警察詐欺から身を守るにはどうすべきか。
スマートフォンでは、国際電話や特殊詐欺の疑いがある番号の発着信があれば警告画面を表示し、自動で着信拒否できるアプリがある。警察庁は、情報セキュリティー会社トレンドマイクロのアプリ「詐欺バスターLite」の利用を推奨している。
固定電話では、「国際電話不取扱受付センター」(0120・210・364)に申し込めば、国際電話の着信を止められる。
SNSの事業者も対策に乗り出している。LINEのビデオ通話に誘導されるケースが多いため、LINEヤフーは昨年11月、着信時、一定の条件で「詐欺にご注意ください」「違和感がある場合は通話を終了して通報してください」との警告画面を表示する運用を始めた。
警察庁によると、昨年のニセ警察詐欺の被害額は約985億円(暫定値)で、SNS型投資・ロマンス詐欺を含む特殊詐欺全体(約3241億円)の約3割を占めた。被害者は20~40歳代に多い。