コウテイペンギン「特別保護種」指定見送り、中露が反対「時期尚早」…南極条約会議閉会

広島市で開催されていた南極条約協議国会議が21日閉会し、南極に生息する絶滅危惧種のコウテイペンギンについて、「優先事項として保護を推進する」との声明をまとめた。一方で、条約に基づく「特別保護種」への指定には中露が反対し、今回の会議では見送られた。
32年ぶりの国内開催となった会議は11日に開幕し、44か国の政府関係者や研究者ら400人以上が参加した。
生息数を減らしているコウテイペンギンの特別保護種指定が議論されたが、中国が「他の手法もあり、時期尚早だ」と主張。会議の意思決定は全会一致が原則で、ロシアも同調したことから指定に至らなかった。
閉会後に記者会見した宇山秀樹議長(外務省担当大使)は「圧倒的多数の国が保護種指定を強く支持した。中国の反対理由は、私も含めて他の国は理解しがたかった」と批判した。
コウテイペンギンの現状については、宇山氏は「南極の海氷が減少し、生存のリスクにさらされている点では合意を得た」とし、「保護の検討を継続することで一致したのは大きな前進だ」と述べた。
また急増する観光客の規制を巡る協議も結論が出ず、来年5月に韓国・仁川(インチョン)で開催される次回会議で引き続き議論することを決めた。
「議論きっかけに関心を」…国内唯一の繁殖成功施設
南極条約に基づく「特別保護種」への指定が見送られたコウテイペンギンについて、国内で唯一、飼育下での繁殖に成功している和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドの担当者は「今回、指定されなかったのは残念だが、会議での議論をきっかけに少しでも多くの人に保護の重要性に関心を向けてほしい」と呼びかけている。
日本動物園水族館協会によると、国内では同施設と名古屋港水族館(名古屋市)の2か所で計22羽(昨年末現在)を飼育。アドベンチャーワールドでは1997年から飼育が始まり、2004年には国内初となる繁殖に成功。世界でも2施設目の快挙で、これまでに計16羽が誕生しているという。
しかし、全羽が1組のペアによる自然交配で生まれており、近親での交配を避けるなどの目的で、24年からは人工授精による繁殖を目指している。
飼育スタッフの榎本真史さん(34)は「このままでは飼育下でも個体数が減ってしまう。何とか人工繁殖に向けた取り組みを成功させたい」と話していた。