首長の黒子であり“汚れ役”にもなる 裏方仕事で権力が増大

【“役所のドン” 助役の実態に迫る】

談合事件、贈収賄事件の裏に「助役(副市町村長)」あり、だ。

埼玉県草加市で2005年、市の電気温水器納入を巡り、業者から252万円を受け取ったとして、児玉一助役(57=当時)が収賄で逮捕・起訴される事件があった(06年に懲役2年、執行猶予4年)。逮捕時の児玉助役の評判は次のようなものだった。

「役人らしからぬ大胆な行動と発想を持つ人」

「公務員社会を知り尽くした人」

福井県高浜町の森山栄治元助役に通じるものがある。

役人出身ながら「役人らしからぬ」行動を取れるのは、副市町村長が政治任用だから。首長の指名と議会の同意を得て選任される。役所たたき上げの副市町村長は、時に首長の盾となり、時に役所組織の味方となる。多くは総務課長や収入役(会計管理者)など要職を経験しているため、役所のカネの流れから組織全般(ヒト)までを把握している。カネとヒトを一手に握れば強いのは当然だ。

「首長の黒子として動き、汚れ役にもなるのが副市町村長。裏方仕事をする中で権力を得ていく。首長や部課長と違って、議会でほとんど答弁することがなく、追及の“空白地帯”という不思議な存在でもあります」(地方自治ジャーナリスト・葉上太郎氏)

■入札などの選定委員会トップとして業者に睨み

副市町村長の重要な仕事は議会をスムーズに回すことだ。首長がじかに動いて失敗すれば後がないが、副市町村長なら首長に逃げ道を残せる。首長が出られない場所に出ていったり、例えば挨拶などの事前調整も担う。表舞台にしか関心を持たない首長だったりすれば、副市町村長は行政組織内で実質的なトップとなり、隠然たる力を付けることになる。

行政のシステムとして副市町村長が権限を持ちやすい側面もある。

「縦割り組織の役所の中で、副市町村長には、首長同等に全ての情報が集まる。その副市町村長が、入札などの業者選定委員会のトップを務めることが多く、自らの意向を反映させやすい。業者にも睨みが利く」(葉上太郎氏)

業者との癒着が生まれやすい土壌があるわけだ。 (つづく)