【指名手配】なぜ逮捕に至らず?”元隣人”の大山賢二容疑者「人を殺した」発覚前に発言も「具体的な内容伴わない主張をする人は珍しくない」元警察幹部が指摘 公開捜査は「犯人しか知らない秘密を守りつつ…」【たつの市母娘殺害事件】

容疑者は元隣人…母娘殺害事件の「公開捜査の裏側」は
5月19日、兵庫県たつの市の住宅で、田中澄恵さん(74)と次女の千尋さん(52)が、血を流して死亡しているのが見つかった事件。
警察は千尋さんに対する殺人容疑で、住所・職業不詳の大山賢二容疑者(42)の逮捕状をとり、全国で指名手配し公開捜査に踏み切りました。
警察の捜査の裏側やねらいは…。元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠氏が見立てを解説します。
◎棚瀬誠 元警察庁キャリア・元兵庫県警察本部刑事部長 捜査の最前線に身を置き、国内・海外で従事
【事件の経緯】13日頃「事件発生」~24日頃「公開指名手配」
事件発覚から指名手配に至るまでの経緯は以下の通りです。
5月13日頃: 母娘が殺害されたか

5月16日: 高砂市内で寝ている大山容疑者を警察官が発見 大山容疑者は「人を殺した」と話す

5月17日: たつの市内の防犯カメラに大山容疑者の姿が映る。

5月19日: 母娘の遺体が発見される

5月21日:殺人事件と断定

5月23日: 娘(千尋さん)への殺人容疑で逮捕状を請求

5月24日: 全国に公開指名手配
(元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠氏)「容疑者の特定が比較的早く進んだと言えます。おそらくは公開捜査をする前提で、逮捕状をどのようにすれば取れるのかということも含めて捜査をしていたのではないか」
「公開捜査というのは逮捕状が取得できるということが一つの要件。容疑者が特定できた後、容疑者の定住先が分からない場合には、最初から公開捜査を視野に入れることも考えられるので、今回はそうしたケースだったかもしれません」
遺体発見前に警察は容疑者と接触 「人を殺した」発言も
捜査関係者によりますと、事件が発覚する3日前の5月16日、兵庫県高砂市内の交番に「歩道で寝ている人がいる」と通報があり、駆け付けた警察官が大山容疑者に話しかけたということです。その際、大山容疑者は「人を殺した」と話したといいます。
その後、警察署で話を聞きましたが、話の内容に具体性がなかったため、警察官が居住歴のあったたつの市の事件現場近くまで車に乗せて送り届けたといいます。
なぜ逮捕に至らなかった?「具体的な容疑があれば捜査をするが…」
大山容疑者が「人を殺した」と話した際、なぜ逮捕に至らなかったのか。
元兵庫県警刑事部長・棚瀬誠氏は、「警察に具体的な内容が伴わない主張をする人は珍しくない」とした上で、「具体的な容疑があれば捜査をするが、今回はそうではなかったのではないか」といいます。
(棚瀬氏)「飲酒・薬物の影響や精神疾患のために路上で寝ている、などの形で警察が駆けつけることはよくあります。実際に本件でどのようなやり取りがあったのかは分かりませんが、仮にそこで具体的な内容の話(被害者の名前・自宅など)が出たなら、捜査に切り替えられたと思いますが、結論そのような話が出てこなかったのだと思います。なかなか意思疎通がうまく行かなかったのではないか」
「逆に言えば、具体的な容疑がないのに警察に留め置けば、不当逮捕だという誹(そし)りを受けかねないので、この段階では身柄をどこかに帰すことになります。本件は結果としてたつの市に送り届けた、という流れだと思います」
翌日、近隣住民が容疑者とみられる人物を目撃「ずっとカバンを抱えてブルブル震え…」
その翌日の朝、たつの市の事件現場の近くでは、大山容疑者とみられる人物の目撃情報が。
(大山容疑者とみられる人物を目撃 近隣住民)「ちょっと小刻みに体が動いている。その体の動きからすると、寒さによる震えみたいな感じに見えて」
この男性によると、自宅の玄関先に大山容疑者とみられる人物が座り込んでいたといいます。
「『立ち上がろうか?』と言ったけど、立ち上がれない。『手貸そうか?』と言っても『いいです』と。じーっと座っているから『立とう、いっぺん立とう」と言って無理やり立たせても、立つのもやっと勢いつけて立たないとだめなような感じで、ずっとカバンを抱えてブルブル震えながら立ち上がって」(大山容疑者とみられる人物を目撃 近隣住民)
「警察が捜査をしているのか気になり現場に行った可能性も」
母娘が殺害されたとみられるのが13日頃。しかし男性が大山容疑者とみられる人物を目撃したのは、それから4日も経った17日でした。
通常なら、事件現場から遠い場所に逃げることも考えられますが、容疑者はなぜ現場の近くにいたのでしょうか。
(棚瀬氏)「前日16日に警察官に職務質問を受け、翌17日の目撃証言であることから、自身が『人を殺した』と話したことに基づいて警察が捜査をしているのかどうかが気になって現場を覗きに行った、ということは一つ考えられると思います」
「また、土地勘があってなかなか離れがたいという気持ちからこの場所に執着していたということも考えられます」
容疑者割り出しの背景に「娘の殺害に固有の証拠があったか」指摘も
警察の職務質問から約1週間後となった公開指名手配。警察によると、以下の情報から大山容疑者を割り出したということです。
・住宅内の遺留物の鑑定結果
・防犯カメラの映像
・高砂市内の件
棚瀬氏は、住宅内に容疑者に関連した証拠に加え、娘の殺害に固有の証拠があったのではないかと分析します。
(棚瀬氏)「例えば、娘さんを殺害した動機や接点が何かしら現場に残されていた可能性はあります。(一つの可能性として)娘さんのスマホの中に容疑者とのやり取りが残っていたということも考えられると思います」
なぜ「公開指名手配」に踏み切った?警察のねらい
公開指名手配には以下のメリット・デメリットがありますが、警察はそれを踏まえても「メリットがある」と判断したため、公開指名手配に踏み切ったのではないかと棚瀬氏はみています。
メリット: 第二の被害を防ぐ
デメリット:証拠隠滅の可能性
(棚瀬氏)「犯罪捜査において特に犯人しか知らない情報というのは、秘密を維持することが前提です。他方、今回のように、凶器で人を殺害した疑いのある人が凶器を持って逃げている可能性があれば、容疑者の顔や人相を周囲に知らせて二次被害を防ぐことも防犯の観点で必要であり、その選択肢の一つが公開捜査」
「犯人しか知らない秘密を表に出さないギリギリの範囲内で、犯行の実態を皆さんに伝えるというのが警察の立ち位置です」
また、今後の重要課題は、
・犯行前後の動きの特定
・凶器の発見
・動機の解明
だと指摘しています。
指名手配 大山賢二容疑者(42)の特徴は
警察は、大山容疑者に関する情報提供を呼びかけています。
【大山賢二容疑者(42)について】

身長約160cm

やせ型

黒髪

黒いキャップ

黒縁のメガネ など
【情報提供先】

兵庫県警たつの署

(0791) 63-0110