日本の主力ロケット「H3」6号機は12日、失敗からの再起をかけた打ち上げに成功した。世界の宇宙産業で存在感を示すには、今後も成功を重ねる必要がある。(科学部 村岡拓弥、鬼頭朋子)
「(目標を)達成することができて本当にほっとしている。まだ道半ばなので、さらに頑張らないといけない」。打ち上げ後に記者会見した宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有田誠プロジェクトマネージャは、安堵(あんど)の表情を浮かべた。
昨年12月の8号機失敗で、日本の宇宙開発は「背水の陣」に追い込まれた。
JAXAは政府衛星を優先的に載せる基幹ロケットとして、大型のH3のほか、小型の「イプシロンS」も開発中だが、実用化のめどは立っていない。H3が再び失敗すれば基幹ロケットの運用が長期間停止し、「自国の衛星を打ち上げたい時に打ち上げる」という宇宙開発の自律性を失う。
計画では、H3は今年度、測位衛星「みちびき」や火星衛星探査機の打ち上げなど重要ミッションを控える。JAXAは影響を最小限にするため、8号機失敗の原因究明と次の打ち上げ準備を同時並行で進めた。6号機はエンジン燃焼試験中に異常が見つかったため完成が遅れ、打ち上げが後回しにされた機体だった。
H3は主エンジンと補助ロケットブースターの数に応じて3形態あり、打ち上げ能力やコストが異なる。
H3を共同開発した三菱重工業は今後、さらなる低コスト化のため、3Dプリンター製の部品を使った主エンジンの開発も急ぐ方針で、記者会見した同社の北山治プロジェクトマネージャは「品質の安定化とコストダウンを両輪で回す」と話した。立命館大の湊宣明教授(宇宙航空マネジメント学)は「国際的な信頼を得るには成功を重ね、安定した技術を世界に示す必要がある」と指摘する。