自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件で、清和政策研究会(旧安倍派)から受領した約5100万円を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた元参院議員、大野泰正被告(67)に対し、東京地裁(福家康史裁判長)は23日、罰金60万円(求刑・罰金150万円)の有罪判決を言い渡した。起訴された5年分のうち4年分を無罪とし、有罪の虚偽記載は1120万円にとどまった。
ともに起訴された元秘書の岩田佳子被告(62)も大半を無罪とし、罰金20万円(求刑・罰金50万円)とした。両被告は派閥からキックバック(還流)されたパーティー券収入のノルマ超過分は記載義務のない「預かり金」だと認識していたと主張。大野元議員は元秘書との共謀も否定し、全面無罪を主張していた。
国会議員4人を含む12人が起訴(在宅や略式含む)された一連の事件で、正式裁判で政治家に判決が言い渡されるのは初めて。不記載や誤記載があった80人以上の自民党議員側の中で大野元議員側の不記載額は最多だった。
判決によると、大野元議員は元秘書と共謀し、2022年に所属していた旧安倍派からパーティー券収入のノルマ超過分計約1120万円のキックバックを受けたのに、自らの資金管理団体「泰士会」の政治資金収支報告書に記載しなかった。18~21年分の虚偽記載計約3980万円分は無罪とした。
検察側は公判で、キックバック以外の旧安倍派からの現金は寄付として泰士会の収入欄に記載していたことなどから、元議員には還流分も寄付として記載すべき認識があったなどと主張した。これに対し、元議員は「国民の政治不信を招いてしまったことは痛恨の極み。おわび申し上げる」と謝罪する一方、収支報告書の作成はスタッフに任せて詳細を把握していなかったなどと反論していた。
大野元議員は自民初代副総裁を務めた大野伴睦(ばんぼく)氏を祖父に持つ。父は元運輸相、母も参院議員を務めた。岐阜県議を経て13年に参院選岐阜県選挙区で初当選。2期目だった24年1月に在宅起訴された。25年7月の参院選には出馬しなかった。【菅健吾】