■学院長(当時)
「干してました。あえて、退学の道を選ばせるっていうのが、
教職員の狙いだったと思います。
収容所並み、自分はそういうのを連想しました」。
北海道立江差高等看護学院の当時のトップ=「学院長」の証言。
当時の学院内の様子が、生々しく記されていました。
2019年、学院で看護師を目指していた
秀人さんが下宿先のアパートで亡くなりました。
自殺でした。
「4月からは死なないことを目標に生きていくわ」。
親友に宛てた手紙にこう記した半年後のことでした。
■秀人さんの親友
「実習から帰ってきて話を聞くだけでも
違ったんじゃないかとか。
もうちょっと頼ってほしかった」。
男子学生同士で仲が良かったという秀人さん。
同級生は当時をこう振り返ります。
■秀人さんの同級生
「パワハラしかなかった。あの学校は」。
■秀人さんの同級生
「原因はパワハラなりあったと思う」。
遺族は秀人さんの自殺の原因は
教師からの「パワハラ」だとして道を相手に訴えを起こし
今も裁判が続いています。
一方で、道はパワハラを全面的に否定しています。
HTBが新たに入手した秀人さんの実習ノート。
亡くなる9日前、そこに記されていたのは
「感情のコントロールができないと論外」。
自分を責めるような
言葉が残されていました。
■秀人さんの母親
「うちの子は江差の学校に殺されたんだって思いが強くなって」。
2019年、下宿先のアパートで自ら命を絶った秀人さん。
当時、道立江差高等看護学院に通う3年生でした。
■第三者調査委員会 須田布美子座長
「教員からパワーハラスメントを受けたことによって
死を考えるようになったと認められます」。
秀人さんの死から3年後。
この件を受け、道は第三者委員会を立ち上げ、
「『人格を変えなければいけない』と思わせるような
指導をしたこと」など
3人の教師による4件のパワハラがあったと認定。
学校の学習環境が自殺につながったと認められました。
道は、直接遺族に謝罪しました。
■道の担当者
「ご子息に対するハラスメントが確認されました。
心よりおわび申し上げます。誠に申し訳ございませんでした」。
■鈴木直道知事
「複数の教員によるハラスメントが確認された。
学生をふるい落とすような教育方針。
ご遺族に対して深くおわびを申し上げますとともに、
お亡くなりになられた学生に対して心より哀悼の意を表します」。
■秀人さんの母親
「亡くなった原因がパワハラにもあるということが
少しでも分かったので良かったかなと思っています」。
しかし、その後、道は自殺の賠償については、
パワハラとの因果関係は認められないとして
応じない考えを示しました。
遺族は秀人さんの自殺の原因はパワハラにあったとして
道に対し9500万円の損害賠償を求め提訴。
道は請求の棄却を求めて争う姿勢を示しました。
■道側(準備書面より)
「パワハラと認定された4つの事例はいずれもパワハラとはいえず、
原告がパワハラや不適切な指導と主張する各事例と
本件学生の自死との間の相当因果関係は認められない」。
道は自ら設置した第三者委員会の調査を「客観的ではない」などとして、
認定された4件のパワハラすべてを「否定」しました。
■秀人さんの母親
「勝手に死んだんじゃない、あなたたち(道)のせい。
その責任から逃れようとするのは違いませんか」。
秀人さんが亡くなってから7年が経とうとする今も裁判は続いています。
■前田愛奈記者
「道側が3月に新たに提出した証拠書類を閲覧しました。
その内容は当時の学院長がパワハラを認めるものでした」。
■伊東則彦学院長(当時)
「亡くなった男子学生については今でも申し訳なく思っています」。
当時の学院長はいち早くパワハラがあったと認め
メッセージを遺族に送り謝罪していた人物です。
第三者委員会にもこう話していたことが分かりました。
■伊東学院長(当時)※道が裁判所に提出した証拠書類より
「教職員というのは、彼を辞めさせたいと思っていたんです。
干してました。
彼を落として、あえて、退学の道を選ばせるっていうのが、
教職員の狙いだったと思います」。
学院長は江差保健所の所長も兼務し、
週に3日、1日3時間程度しか学校にいなかったため、
秀人さんのへの「パワハラ」は気付けなかったといいます。
■伊東学院長(当時)※道が裁判所に提出した証拠書類より
「自分が行くと、そういう現場見せないようにします。
彼にとっては地獄だったと思います。
収容所並み、自分はそういうのを連想しました。
先生たちは収容所の監視員とか、立派にやれると思います」。
なぜ、道側はこれまでパワハラを「認める」学院長の証言を証拠として
提出しなかったのか。遺族側の弁護士は。
■植松直 弁護士
「道はその前までは第三者委員会における関係者の供述証拠は
(他に)ないと言っていた。
そんな訳はない、学院長から話を聞いてない訳がないと、
(証拠を)出せって言っていたが、
(道は)全然出さなかった。
道にとって不利な証拠だったので、
これを裁判所に見られてはまずいと考えて
隠蔽してたのではないかと思っております」。
これについて道は
「係争中なのでコメントは差し控える」としています。
HTBが新たに入手した秀人さんの実習ノート。
第三者委員会でパワハラ認定された
『人格を変えなければいけない』と思わせるような指導をされた実習中、
亡くなる9日前に記されています。
「先生との話合いの中で自分が泣くのは
自分を分かってほしいという傲慢なアピール。
感情がコントロールができないと論外」。
教師との面談を経て、
自らを厳しく責めるような言葉がつづられていました。
秀人さんはどうして命を絶たなくてはいけなかったのか。
新たな証言が与える影響は。
次回の裁判は7月14日に非公開で行われる予定です。