沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し同志社国際高(京都府)2年、武石知華(ともか)さん(17)ら2人が死亡した事故で、産経新聞が公開した防犯カメラ映像を巡り、芥川賞作家の目取真(めどるま)俊氏(65)が自身のブログに「遺族は望んでいたのだろうか」と映像公開を疑問視する投稿をしていたことが分かった。一方、知華さんの遺族は「問題があるとは考えていない」と否定したうえで、映像公開の「社会的意義は大きい」とした。
映像公開「遺族は望んでいたのか」
2隻が出航した辺野古漁港に設置された防犯カメラ映像には、転覆事故後に救助された生徒らが漁港に搬送される緊迫した様子が写っている。
目取真氏のブログによると、辺野古移設に反対する団体「ティダの会」が、映像を公開した産経新聞報道に反発。「辺野古漁港の防犯カメラ映像が外部に流出→市民のプライバシーが危ない!」「いったい誰が、産経新聞に映像を流出させたのでしょうか」などと批判するチラシを作成し、地元の辺野古区でポスティング=投函(とうかん)=したとしている。
目取真氏はブログで「流出、拡散した映像を見ると、教師たちよりも亡くなった2人の様子の方が多く映っている」と指摘し、「このような映像がインターネット上に拡散されることを遺族は望んでいたのだろうか」「いったん拡散されてしまえば、どのように利用されるか分からない。遺族を傷つけることにはならないのか」などと疑問を呈している。
遺族「社会的意義大きい」
これに対し、事故で亡くなった知華さんの母親は9日までに産経新聞にメッセージを寄せ、「防犯カメラに映る娘についてプライバシーに関する指摘もあるようだが、むしろ(映像が)公開され、事実が明らかになったという社会的意義は大きく、問題があるとは考えていない」とした。
防犯カメラ映像については、「転覆後1時間も救助されず海中にいたことを思えば、亡くなっていることは覚悟しなければならないのかもしれないが、それでもやはり目隠しをされて救急車に運ばれる娘の姿は見るに耐えがたく、涙して拝見した」という。
映像を確認するかぎり、救助された生徒が次々と搬送される中で、引率の教師2人とみられる人物や抗議船「平和丸」の船長とみられる人物が、生徒の安否確認などを行った形跡はうかがえなかった。
知華さんの母親は「平和丸の船長、船員、引率教員までもがひとごとのような振る舞いで、子供たちの人数確認も安否確認も行われない様子が確認できた。改めて、この事故の責任はこの(洋上)見学を取り入れて実施した学校にもあると思った」と振り返った。(大竹直樹)