無罪決め手の証拠、検事5人把握=名古屋高検、「福井事件」で調査結果

福井市で1986年に女子中学生=当時(15)=を殺害したとして、殺人罪で服役した前川彰司さん(61)の再審無罪が昨年確定したことを受け、名古屋高検は10日、確定審や再審請求審に関わった検察官への聞き取り調査結果を報告書にまとめ、公表した。少なくとも5人の検察官が1次請求審段階で、無罪の決め手となった証拠の存在を把握しており、開示していれば再審無罪が早期に確定していた可能性があったとした。
報告書によると、聞き取りは検察官17人に実施。5人が証拠を把握していたが、関係者の供述を裏付けるものに過ぎず、判決に影響を及ぼすほどではないと判断し、開示などの適切な対応を取らなかったという。
証拠が裁判所に提出されていれば、関係者供述の信用性が争点となり、再審開始が決まっていた可能性も十分に考えられると指摘。「再審手続きへの対応や開始決定に対する異議申し立てを通じ、一貫して反省すべきだ」と結論付けた。ただ、5人への処分は行わないという。
今後、最高検が全国の検察庁へ内容を周知する。最高検は「国民の信頼に十分に応えることができるよう、適正な検察権行使に一層努める」とするコメントを出した。
聞き取り調査は5月に開始。再審制度を見直す刑事訴訟法改正案を巡り、事件の検証を求める声が上がっていた。
前川さんは95年に名古屋高裁金沢支部で懲役7年の逆転有罪判決を受け、最高裁で確定。服役後の2011年に再審開始決定が出たものの、名古屋高裁で覆された。2回目の再審請求で同支部が24年に再審開始を決定し、昨年8月に無罪が確定した。 [時事通信社]