「政府の広報は2、3周遅れている」佐伯耕三内閣広報官が語った高市政権「SNS戦略」の中身【独占インタビュー】

高市政権の広報を担当する佐伯耕三内閣広報官が開設したX(旧Twitter)アカウントが、議論を呼んでいる。
このアカウントは今年5月1日に「内閣広報官室試行アカウント」として開設。6月1日からは内閣広報官の佐伯耕三氏本人が「中の人」とカミングアウトし、「内閣広報官(色々投稿試し中)」として発信を続けている。以前の首相官邸アカウントなどのSNSやホームページを使った発信とは違う、新たなネット戦略だ。フォロワー数は約14万人(7月2日現在)。
このアカウントを開設した狙いとは何か。佐伯広報官が、月刊「文藝春秋」8月号の ノンフィクション作家・高木徹氏の取材 に応じ、開設経緯や狙いについて語った。
「こうした変化は、チャンスなんじゃないかと思った」
開設した経緯を佐伯氏は次のように明かす。
「ネット社会が広がり、今や検索ではなくAIに直接尋ねる時代。通信環境も良くなってテキストより動画で情報を取る時代です。まず、その変化のスピードに既存のやり方ではついていけない。今の政府の広報は、僕のイメージでは2、3周遅れているから、新しい発信の仕方をもっと考えなきゃいけないなと思ったことです。
一方でこうした変化は、政府がやろうとしていることをしっかり国民に伝える上で、チャンスなんじゃないか、と思ったこと。発信するツールが増えたなら、より積極的に使おうという思いもありました」
ほぼ一人でアカウントを運営しているという佐伯氏。開設時に高市早苗首相や木原稔官房長官に説明した後は、特に指示もなく、自由に任せてもらっているという。
G7では炎上案件も
その広報官アカウントが“炎上”したのは、6月中旬にフランスで行われたG7サミットの時だった。会合前のフォトセッションで、高市首相を真ん中にフランスのマクロン大統領、カナダのカーニー首相の3人が笑顔で語らっているように見える写真を、同アカウントが投稿。「撮影前に近くの首脳たちと歓談」とコメントを付けた。
ところが、動画を見ると、会話はマクロン大統領とカーニー首相の間のもので、高市首相は参加しているようには見えない。このことがネットを中心に「印象操作だ」と指摘されたのだ。
これについて佐伯氏は、次のように語った。
「でも、あの表情ですよ。あの顔は何の顔だと思います? 僕も実際の音は聞けないのでよく分かりませんけれども、会話に参加してなかったらあの表情になりますかね」
高木氏が、「会話に入っていないのに、破顔一笑の表情をしてしまうのが高市首相」という指摘があることを伝えると、次のように反論した。
「そういう見解を持つ方がいるのはいいんですが、あれを素直に見たら歓談なのでそう書きました。反証する人も『違う』という決定的証拠を持っているわけではないですよね。つまり、人それぞれ『見たい世界』があるわけです。例えば、ある方向の『見たい世界』がある人は、G7のランチセッションで他の首脳より先に座っている総理の動画(高市首相が一人ポツンとテーブルに座っている動画が拡散された件)をポストするんですよね」
佐伯氏は他にも、メディア記事を論評しているとの批判や高市首相の記者対応が少ないとの指摘への反論、安倍政権と高市政権の共通点などについて語っている。
高市官邸のSNS戦略をアメリカのトランプ政権の手法と比較した高木徹氏の論考「高市官邸『SNS戦略』徹底解剖」と、佐伯広報官のインタビュー「 『中の人』佐伯内閣広報官の告白90分 」は、7月10日発売の文藝春秋8月号(文藝春秋の 電子版「文藝春秋PLUS」 でも公開中)に掲載されています。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2026年8月号)