今もなお高支持率を維持する一方で、強権的な姿勢を強める高市首相。実は彼女が尊敬する安倍元首相は生前、宰相としての資質に疑問符をつけていた。さらに安倍政権を支えた側近やブレーンからも次々と批判の声が――。
国会での説明責任をことごとく放棄
奈良中心街から車を走らせること10分。田園風景へと変わる道の先、若草山の麓にその慰霊碑はある。
「不動心 内閣総理大臣 安倍晋三」
2022年7月、近鉄大和西大寺駅前での演説中に凶弾に斃れた安倍晋三元首相。彼が敬愛した吉田松陰の著書になぞらえ、「留魂碑」と名付けられた。碑に刻まれた「不動心」は安倍氏が生前に好んだ言葉だ。
今年1月、就任後初めて地元の奈良県に入った高市早苗首相。慰霊碑にも献花し、黙祷を捧げていた。
〈日本の舵取りという重責を担う者としての決意を新たにしました〉(首相のXより)
自らこそが、安倍氏の正統な後継者であるという意志――果たして、彼女は本当に、尊敬する師のような長期政権を築くことができるのか。それとも……。
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7月17日に会期末を控えた終盤国会が荒れている。与野党対立の激化で、審議が全面ストップになる事態に陥ったのだ。
「首相は6月22日の国会で、中傷動画問題を巡って『(秘書の)陳述書』を提出すると述べ、答弁回避の姿勢を見せました。以降も、野党が要求した首相出席の集中審議や党首討論の実施を拒否。野党は猛反発し、全委員会を欠席した。それでも、政府与党は定数削減法案や副首都関連法案などの審議入りを強行したのです。その後、与野党は集中審議の開催と党首討論の実施で合意した。ただ、依然として、法案成立は不透明な状況です」(政治部デスク)
そんな中、高市首相は7月6日、参院決算委員会に出席。国会空転について問われ、「これまでも誠実に答弁をさせてもらった」などと繰り返すのだった。
「首相は参院が少数与党であることを懸念し、『60日ルール(衆院を通過した法案が、参院で60日以内に採決されない場合、再び衆院で3分の2以上の賛成を得れば可決できる)』に基づく会期延長も視野に入れています。しかし、これは参院の軽視でもある。国会での説明責任をことごとく放棄しています」(前出・デスク)
立憲民主党の辻元清美参院議員が喝破する。
「国会答弁は総理大臣の最も大切な仕事です。ところが、高市総理は『準備で寝てない』『総理の仕事ができない』と言い訳ばかり。『国論を二分する問題に取り組む』と言葉は勇ましいですが、議論から逃げてしまうのです。それこそ、安倍さんも、森友・加計問題などを追及されるのは嫌だったでしょう。しかし、逃げずに厳しい質問にお答えになっていた。安保法制の審議では、私が最も安倍さんと議論を交わした議員だと思いますが、『自分で説明する』という気概と覚悟をお持ちでした」
「安倍晋三回顧展」の裏で首相は…
折しも7月8日に、その安倍氏の5回目の命日を迎える。4日からは、東京ビッグサイトTFTホールで「安倍晋三回顧展」が開かれていた。この日の午後、会場に姿を見せたのが、昭恵夫人だ。来場者によれば、イベントに登壇し、夫が銃弾に斃れた日のことを涙ながらに振り返る場面もあったというが、
「同じ時刻、同じ東京ビッグサイトでの日本ジュエリーベストドレッサー賞の表彰式に参加していたのが、高市首相です。黒のドレスに白のジャケット姿で、真珠とダイヤモンドのイヤリング(180万円相当)とネックレス(800万円相当)を身につけていた。堂本光一らの隣でドヤ顔を見せていましたが、ちょうど昭恵夫人が回顧展で挨拶していただけに、いかがなものかと感じました」(官邸担当記者)
もちろん、高市首相にとっても安倍氏は大きな存在だった。冒頭で触れた慰霊碑。建立に尽力したのは、首相が顧問の有志団体「安倍晋三元内閣総理大臣感謝と継承の会奈良」だ。ただ、旧安倍派議員はこう嘆く。
「事件の重大性を鑑みれば、調整を尽くして現場の駅付近に建立すべきとの意見も多かった。ところが高市首相のゴリ押しで、駅から5キロ離れた霊苑内に建てられました。安倍氏に関することは、自身が主導したいとの想いがあるようです」
総裁選などの場で、安倍路線の継承を掲げてきた高市首相。安倍氏も21年9月の総裁選では高市氏支持を表明し、自ら所属議員に電話をかけ続けた。別の旧安倍派議員が振り返る。
「高市氏は下馬評を覆し、国会議員票では2位に食い込んだ。安倍氏としても自身の影響力の大きさを見せつけた形でした。後に、高市氏は生前の安倍氏から『女性初の総理大臣、いいね』と声を掛けられたことを明かしています」
ところが、安倍氏はこの総裁選で、高市首相の本質に失望していたという。実は暗殺される直前、周辺にこう明かしていたのだ。
《この続きでは、旧安倍派議員の証言、安倍元首相が暗殺直前に高市首相を見放していた理由、皇室典範・外交・人事への懸念を安倍ブレーンが連続告白した証言などを報じている。記事の全文は現在配信中の 「週刊文春 電子版」 および7月9日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる》
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年7月16日号)