大規模噴火で溶岩に覆われた西之島 5年経て初めて植物を確認

小笠原諸島の西之島で、2013~20年の噴火後に初めてコケとシダの植生が確認されたと、東京都立大や森林総合研究所などの研究チームが17日発表した。西之島は20年の大規模な噴火による溶岩や火山灰ですべての植生が失われていた。「絶海の孤島」に生態系がつくられる初期のプロセスが確認できた貴重な事例だとしている。
研究チームは、25年7月の環境省の調査で西之島に上陸。北東の海岸近くで、ユミダイゴケ▽イワヒメワラビ属の1種▽タマシダ属の1種――を発見した。いずれもありふれた種だが、噴火前の西之島にはなかった植物だ。胞子が風に乗って飛来し、定着したとみられる。
「孤島」で侵入難しく
これらは、降り積もった火山灰が雨などで浸食されてできた谷の崖で見つかった。20年の噴火では大量の火山灰が放出された。火山灰は溶岩に比べて保水力があり湿度が保たれるため、たまたま生育に適した条件が整ったとみられる。
近年の火山活動で生態系が失われた島は、アイスランドやインドネシアにもあるが、いずれも短期間で多くの動植物が侵入した。一方、西之島は5年もかかった。最も近い小笠原諸島の父島からも約130キロと遠く離れており、侵入が難しいためだ。
チームの川上和人・森林総研地域研究監(鳥類学)は、「生まれたばかりの孤立した海洋島にどのように生態系が作られるかは大きな謎だった。生態系の基盤になるありふれた植物が定着し、長い年月をかけてガラパゴスや小笠原のような固有種が生まれていくのだろう」と話した。【酒造唯】