高市首相は22日、首相陣営が衆院選などで他候補を中傷する動画をSNSに投稿したとの報道を巡り、関与が報じられた秘書の「陳述書」を坂本哲志・衆院予算委員長(自民党)に提出した。中傷動画への関与を否定する内容で、政府・与党は幕引きを図りたい考えだが、野党は追及姿勢を強めている。
陳述書は、坂本氏が22日の衆院予算委の理事懇談会で配布した。
秘書は陳述書で、高市事務所と高市陣営は「誹謗(ひぼう)中傷動画の作成・発信は行っていない。第三者に依頼したこともない」と関与を否定した。動画作成者とされる男性とのメールのやり取りについても「記録は見つかっておらず、記憶もない」と記した。ただ、自民総裁選に関係するオンライン会議でやり取りしたことに関しては「詳細は記憶していない」とした。
首相の名前を冠した暗号資産「SANAE TOKEN(サナエトークン)」の発行については、アプリ内のポイントと認識していたとし、「暗号資産として発行するという説明を受けたことは一度もない」と主張した。週刊文春が公開したサナエトークンに絡むオンライン会議とされる音声は「私の声に似ていると思うし、会議に参加したことを否定するつもりはないが、音声がこの会議のものか、自分の声か、確証を持てない」と記した。
秘書は経緯全体を説明した上で「印象に残っていないことも多く、混乱を招いた点は誠に申し訳なく思う」と謝罪した。
陳述書の提出を受け、野党は24日の衆院予算委集中審議で首相を直接追及する構えだ。中道改革連合の小川代表は22日に出したコメントで、「陳述書の提出をもって国会答弁を代替できるものではない。肝心の内容も核心部分は『記憶がない』に終始し、疑惑の解明にはほど遠い」と批判した。
中傷動画を巡り、首相は「私自身が関わっていることは一切ない」と繰り返し説明、6月の衆院予算委で「陳述書をもって答弁とさせてほしい」と述べていた。