熊本県で最大震度7を観測した地震では、35人の死亡が確認されています。現地で調査を行った専門家は、活断層に沿った場所で被害が大きいと話しています。
【画像】まだ動いていない断層「割れ残り」 今後も警戒が必要
道路などインフラにも影響
バイクの運転手が道路に投げ出され、丸太を積んだトラックは片輪を上げながら、大きく横に揺れています。
28日、九州を襲った最大震度7の巨大地震。道路などのインフラにも影響が出ています。
高速道路を走る10トントラックのドライブレコーダーの映像。車の中で地震の警報が鳴り、慌ててブレーキを掛けますが、間に合わず、高く盛り上がった道路にそのまま突っ込んでしまいました。
奥には、道路が崩れて煙が上がっているのも見えます。
セイコー運輸 鳥部敏雄社長
「揺れるのを感じて、ブレーキを踏んで、その後、警報が鳴った。地震だと思ってブレーキを踏んだが、踏んだ時にはそこが盛り上がってきた。本当に突然の出来事」
夏の車中泊 ガソリン心配
震度6強を観測した八代市では、地震発生から3日目ですが、まだ信号機がついていない地域があります。電気や水がまだ復旧していないということです。
商店を営む松岡俊英さんは震災以来、車中泊をしているといいます。
「前回の熊本地震の時も母親と車1台、3人で車中泊。4月だったから、まだ過ごしやすかったけど、今年は真夏の暑さがこたえます。ガソリンが不自由しかかってますから、そっちの方が心配。うちの前がガソリンスタンド。電気が来てなければ、動きませんから」
最大震度7を観測した宇城市では、断水が回復しつつあるようですが…。
宇城市民
「きょうは夕方ぐらいからお水が出ている。ちょろちょろ、勢い全くないお水です」
「普通の水が出てくれるのが一番求めている。地震でひっくり返っているので、掃除がしたいです。普通の生活」
専門家が現地を調査
地震の爪痕は至る所に。割れて落ちかけている道路。ヒビの先を確認していくと、畑などに伸びているのが分かります。
地震で起きた地割れを現地で調査した、地盤・防災コンサルタントの横山芳春氏を取材しました。
「熊本県小川町、日奈久断層の延長とみられる場所に来ています。かなり大きな道路の損傷起きて、そのまま水田のほうに伸びています」
「日奈久断層帯」は80キロにわたって熊本県を縦断する大きな断層です。10年前、2016年に地震を起こしたものと同じで、今回はその割れ残り、前回動かなかった部分の断層がずれたとみられています。
「『布田川断層帯』というのが熊本にあって、2016年に熊本地震を引き起こした断層。『日奈久断層』の日奈久地域はそれより南側の地域だったりするんですけど、やっぱり従来その地域はまだ活動していない断層だと言われているところもありましたので」
断層沿いに地割れ
横山氏が2日間かけて調査した被害地点を並べてみます。
道路の地割れや隆起、そして高速道路の損傷。被害はさまざまなところで点在しているように見えますが、地図上で結ぶと北東から南西へ。「日奈久断層帯」に沿うように連なっていることが分かります。
「今回は特に活断層ですかね。『日奈久断層』という活断層帯があると思いますが、その断層に沿ったところで、結構被害が大きいような印象がありました」
爆発が起き、7人が死亡したイオンモール熊本。実は、この場所も「日奈久断層」の近くに位置していて、断層付近の被害の大きさを物語っています。
横山氏の写真では、大きく地面が盛り上がっている場所や塀が割れてしまっている住宅。さらに、深くえぐられたように割れている地面は中の土が見え、そのヒビは奥まで続いています。
断層近く温泉旅館も被害
地元で愛される日奈久温泉の旅館も、断層が近いため大きな被害に見舞われました。
金波楼 女将 松本美佐緒さん
「地震の揺れによって(地面が)盛り上がっちゃったんですね。ちょっと見当がつかないけど、3、4カ月(復旧は)とても無理でしょうね」
屋根が崩れ落ち、復帰のめども立たない状態に。歴史ある美しい観光地は、がれきの山になりました。
空から見てみても、その被害から断層を追うことができます。
電柱が倒れている線路。よく見ると横揺れの影響か、線路はくねくねと曲がっています。
高速道路でも、九州自動車道は上下線とも割れ目が入っていて、横山氏は断層に近いことが関係しているとみています。
「実際、九州自動車道自体が活断層帯、『日奈久断層帯』に沿うところもありますけども、本当に断層帯の近くを通っていたりするんです。これはやっぱり土地が限られていたりとか、『日奈久断層帯』自体が山と平らな平地側の境界を走ってますので。やっぱりその活断層がずれたなというふうに思われるところの近くで、橋の被害なんかもあったりしました」
豊富な地下水 液状化被害
また、地割れのほかにも多くの地域で見かけたと話すのが、液状化現象です。
「場所的には緩い砂の地盤ですね。緩い砂の地盤で地下水の水位が浅いところにある。そういった場所で大きな地震があると(液状化)しますので、今回も例えば埋め立て地とか川の近くとか、やっぱり起きやすい地盤があるなというようなところで、起きていたようなイメージですね」
液状化が起きた地域では、道路が波打ち、住宅が傾く被害も確認されています。
熊本市は国内でも類を見ない、水道水の100%を地下水で賄う「地下水都市」です。
地下水位が高く、砂が多い地盤のため大きな地震が起こると、液体のような状態になる場所もあり、今後も被害が広がる可能性があります。
「割れ残り」今後も警戒
断層付近を中心に大きな被害が重なった今回の地震。しかし、「割れ残り」がすべて解消されたわけではなく、今後も警戒が必要だといいます。
熊本県で最大震度7を観測した地震では、これまでに35人の死亡が確認されています。
「日奈久断層」付近で大きく目立った今回の被害。政府の地震調査委員会は、まだ動いていない断層の「割れ残り」があると指摘します。
地震調査委 小原一成委員長
「あくまでもまだ残っている部分がありますので。将来的に地震を引き起こすということは、十分可能性としてあるということです」
高市早苗総理大臣は、8月3日にも被災地を訪問する方向で調整に入っています。
(2026年7月31日放送分より)