地震後に爆発事故が発生し、7人が犠牲となった商業施設「イオンモール熊本」(嘉島町)で捜索救助活動に参加したNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(広島県)の医師、稲葉基高さん(47)が30日夜、報道陣のオンライン取材に応じた。「余震が続く中、二次災害の被災者にならないよう非常に緊張感のあるミッションだった」と振り返った。
稲葉さんは28日夕の地震発生後、広島県からヘリコプターや車を乗り継ぎ、9時間半後の29日午前2時にイオンモールに到着した。
看護師4人と5人でチームを組み、救助された人の診察などを行うため、消防のレスキュー隊と建物内に足を踏み入れた。「まだ数人が取り残されているという情報があり、諦めずに必死に救助を続ける非常に緊迫した雰囲気の現場だった」。施設内は暗く、粉じんが舞い、床も水浸し。1階の比較的損壊が少ない部分で、要救助者の観察や確認などを行った。
活動中、たびたび余震に襲われた。レスキュー隊が運んだ要救助者1人の容体を確認したが、すでに呼吸はしておらず、その場で死亡を確認したという。
「一人でも多く救出し、家族の元に帰したい」と臨み、約5時間、警察や消防、自衛隊と一丸となって活動したが、「全員生きて救助できなかったのは残念」と悔しさをにじませる。
その後、震度6強の揺れに襲われた八代市内に移動し、病院に運ばれてくる救急患者の搬送を調整したり、在宅避難者を往診したりしているという。「猛暑の中、ライフラインが止まり、玄関や路上で休んでいる人たちもいる」と稲葉さん。「改めて災害の厳しさを思い知らされた。災害関連死を減らせるように努めたい」と語った。