熊本県で最大震度7を観測する強い地震が発生してから、まもなく1週間。被災地では熊本市で最高気温が40度を超えるなど、暑さが被災者を苦しめています。
MBSが取材した地域では住民同士の助け合いや支援により食料は足りているといいますが、暑さで食欲がなく、食が進まないという人も…。
こうしたなか、八代市で長年居酒屋を営んできた78歳の女性は、地震で店が崩れ、再建を諦めました。週末に出店するはずだった祭りも中止に…。
そこで、仕入れていた氷を使って住民に無料でかき氷をふるまうことにしました。
キンキンに冷えたかき氷。「一生忘れない いままで食べたかき氷のなかで一番おいしいかもしれない」と涙を浮かべながら平らげる人の姿もありました。
過酷な真夏の被災地の週末の現状を取材しました。
15年営んできた店が被災 78歳の居酒屋店主
最大震度7を観測した熊本地震では3400棟以上の家屋が倒壊しました。震度6強を観測した八代市では多くの人が片付けに追われていました。
市内で飲食店を営む山崎洋江さん(78)もその一人です。
(居酒屋やまちゃん・店主 山崎洋江さん)「きょう(7月31日)電気がやっときました。電気がやっときたから仕事せないかん」
山崎さんはこの場所で、約15年にわたって居酒屋を営んできました。
被災で店の廃業を決意
Qお店はどうする?
「もうやめます。もうやめにゃできんもん。修理するのも大変。何百万円ではきかん。あと2年で80歳だからもう(店は)やめます」
Qいま寝る場所は?
「きのうは車で寝ました。きょうはもうクーラーがあるのでここ(店)で寝ます」
自宅は壁や天井が落ち…ブロック塀も崩れる
山崎さんは夫と2人で八代市のとなり、震度7を観測した氷川町で暮らしています。取材班が訪れると、崩れたブロック塀が道に散乱していました。
(山崎洋江さん)「これ(ブロック塀)私たちではのけきれないので、ボランティアが来るまでこのままの状態です」
建物の倒壊は免れたものの家の中は壁や天井が落ちたほか、家具は倒れ、食器も散乱しています。そのため、電気が復旧した「店」で過ごすことにしたといいます。
ただ、断水は続いています。普段からたびたび水を汲みに行っていたという湧き水のスポットへ向かいますが。地震の影響で通行止めになっているところもあり、約1時間かけてようやく到着しました。
Q2リットルが12本ということは24リットルをひとりで運ぶ?
(山崎洋江さん)「そうそうそう。これで10日ぐらいは(もつ)」
祭りに向けて仕入れていた「氷」を地域の人たちのために
2日、店の隣で何やら準備をしている山崎さんの姿がありました。
Q何をする予定ですか?
(山崎洋江さん)「かき氷です。けさ決めました。氷が冷凍室に入っていて溶けてしまうしもったいないから」
この週末に予定されていた八代市の祭りに向けて大量に氷を仕入れていましたが、祭りは地震のため中止に。溶けずに残っていた氷でかき氷をつくり、無料で地域の人たちに配ることを思いついたといいます。
(山崎洋江さん)「気温が高いからここで出してあげたらいいかなと思って」
気の抜けない日々の中…かき氷の味は「いままで食べた中で一番おいしいかも」
準備をしていると、さっそく、通りがかりの女性が。
(女性)「おいくら万円ですか?」
(山崎さん)「よかよ。ボランティア、ボランティア」
(女性)「本当に!?泣いちゃう」
思わず涙をこぼす女性。
女性は介護の仕事をしていて、地震を受け、担当している家庭を回り水を届けるなど気の抜けない日々が続いていたといいます。
(女性)「一生忘れない。いままで食べたかき氷の中で一番おいしいかも。本当に」
約100杯のかき氷をふるまう「生きている間はボランティアせな」
その後もかき氷を求める人が続きます。
(男性)「(前を)通ってたら、やまちゃんやってたでしょ。えらかと思って。ひと言やまちゃんに声かけないかんと思って、車とめて降りて。えらい。普通の人はできん」
そして午後3時半、持ってきた氷がすべて無くなりました。無料でふるまったかき氷は100杯ほどになりました。
Q自身も大変なのにボランティアを?
「生きている間はボランティアせな」
Q何をしている瞬間が楽しいですか?
「お客さんの相手をしているとき。うれしいよね」
(2026年8月3日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)