皇室典範改正は「だまし討ち」…五摂家筆頭・近衛家の血を引く元首相・細川護熙氏が見た高市首相の「皇室への信じがたい態度」

7月の報道各社の世論調査で、内閣支持率の急落に直面した高市早苗首相(65)。支持率低下の原因とされたのが、7月に閉会した特別国会で成立した改正皇室典範や強引な国会運営だ。
こうした高市首相の政権運営について、細川護熙元首相(88)が8月10日発売の 月刊「文藝春秋」9月号 に寄稿し、厳しく批判した。
「高市氏の皇室に対する態度は信じがたい」
細川氏は摂政・関白を輩出する五摂家の筆頭・近衛家の血を引き、昭和天皇に仕えた近衛文麿を祖父に、昭和天皇の弟宮である高松宮宣仁親王の御用掛を務めた細川護貞を父にもつ。その細川氏から見ると、「高市氏の皇室に対する態度は信じがたい」という。
象徴的な例として細川氏が挙げるのが、4月に行われた政府主催の昭和100年記念式典での高市氏の振る舞いだ。この式典では天皇のおことばが無かったことや、天皇皇后の入場にあたって先導役を務めたのが首相ではなく木原稔官房長官だったことが物議を醸した。細川氏はこう綴る。
「記念式典はまるで昭和の音楽祭とも言われたが、高市氏がガッツポーズや合いの手を入れるなどノリノリな様子だったのは周知の通りだ。恐らく天皇陛下の前で、高市氏は今この場での最高権力者は自分だと思っていたのではないか。それは危険なことである」
麻生太郎自民党副総裁が推進役だった皇室典範改正についても、国民の支持も乏しい中で「だまし討ちの様な形で成立した」と指摘する。今回の皇室典範改正については、あくまで皇族数確保が目的であり皇位継承の問題については扱わないとされていたにもかかわらず、政府作成の法案では養子皇族の男子子孫に皇位継承資格があるとされたことや、女性皇族が住民基本台帳に記載されるとされたことについて、細川氏は「背後の政治的意思の存在を思わせる」として、こう警鐘を鳴らす。
過去に否定された案が、いつの間にか息を吹き返している
「私が危惧するのは、そのような政治的意思が存在して、2005年の有識者会議の報告書で『国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、 採用することは極めて困難である』として否定された案が、いつの間にか息を吹き返し、衆参3時間ずつの審議だけで、多くの国民が危惧するなか、野党も同調して可決されたという事実である。この先、一旦過去に否定されたものでも、甦って時の権力の手で実現されることもあり得るかと思うと、正直暗澹とならざるを得ない」
細川氏は現在の天皇について「象徴天皇制の最大の擁護者で、かつ実践者である」と指摘。皇室と皇位継承の問題は「この国のかたち」の重要な要素だとしたうえで、こう綴った。
「現代国家との共生も考えず、女性差別の甚だしいやり方で、三十何親等も離れた赤の他人に皇位を移して、『男系継承は守られた』と言ったところで、国民が喜ぶわけでも、世界が称賛するわけでもない。『日本はいつまで時代遅れのことをやっているのか』と言われるのが落ちだろう」
8月10日発売の「文藝春秋」9月号では、「 高市総理よ、日本を壊すな 」と題した細川氏の寄稿を10ページにわたり掲載。改正皇室典範をめぐる問題点や、「数の力」で法案を押し通す高市氏の国会運営における懸念、高市早苗首相への疑問や、今の日本が目指すべき「この国のかたち」などについて綴っている(「文藝春秋」の電子版「 文藝春秋PLUS 」にも全文掲載中)。
(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2026年9月号)