千葉豪雨で男性1人が行方不明となっている千葉市若葉区北谷津町周辺で16日、住民の有志約50人が自主的に捜索活動を行った。男性は近くに住む60歳代。冠水で孤立した近所の知人男性(73)を助けようとして、川からあふれた水に巻き込まれたとみられる。住民らは「地域の大切な仲間を自らの手で捜し出したい」と小雨が降りしきる中、川の周辺を歩き回ったが見つからず、17日も捜索を続ける。
「返事してー。迎えに来たよ!」。16日午前、男性が行方不明になった現場に流れる都川沿いで、長靴姿の住民の声が響き渡った。
捜索範囲は川沿いの約1・5キロ。午前と午後に分けて2時間ずつ実施され、住民らは、農業で使うポールを束ねた1・5メートルほどの棒を茂みに突っ込んだり、田んぼを見渡したりしながら男性の手がかりを捜した。
この日行われた県警の捜索でも目立った成果はなく、自主捜索に参加した消防団員の白井秀行さん(59)は「地域の住民たちが一致団結して捜してくれている。一日も早く見つけ出したい」と語った。
男性が行方不明になったのは「レベル5大雨特別警報」が発表されていた13日深夜。周辺にある千葉県の観測点の雨量データでは、午後6時からの4時間で200ミリを超える雨が降っていた。知人男性は出先から乗用車で帰宅中、都川近くの農道であふれた水で流され、田んぼに転落して動けなくなった。
暗闇に雷が鳴り響く中、一帯は冠水し、水は車をのみ込もうとする高さまで迫った。知人男性は車内で首まで水につかった。
そこへ救助に駆けつけたのが、行方不明になった男性だった。軽トラックから降りて乗用車まで数メートル泳いで接近。窓ガラスを割る物を取るために軽トラックに戻ろうとした後、姿が見えなくなった。知人男性は車の屋根にしがみついて耐え、駆けつけた消防隊員に救助されたという。
自主捜索に参加した知人男性は「どこにいるのか見当がつかないが、なんとか自分で見つけてあげたい」と苦しげな表情で語った。
住民や親族によると、行方不明の男性はゴルフ場でアルバイトをしており、親切で、よく他人の世話を焼いてあげる優しい人だという。自治会の役員を務め、集落の運動会の運営を支えるなど地域活動に積極的に参加していた。
取材に応じた親族の女性は「『助けなければ』と思って、危険を顧みずに行ってしまったのだろう。早く見つかってほしい」と言葉少なに語った。(千葉支局 柴田洋希)