もうすぐ、多くの学校で夏休みが明けます。この時期に子どもの自殺が増加する傾向があるとして、政府が対策に乗り出しています。最新の研究では、SOSを出せない子どもたちの存在が明らかになりました。その背景や、周囲の大人にできることを考えます。
動画の音声
「色々さ、めんど~だよな…。ずっと夏休みだったら、いいのに…。そう思ったらさ…誰かに、話してみても、いいかも。相談窓口なんてのも、あるしな。名前とか内緒で、チャットでもできるよ。一人でつらいことは、一緒に話してみませんか?」
鈴江奈々アナウンサー
「これは、20日から始まった『こども・若者の自殺対策集中取組期間』(9月9日まで)のために作られた動画です」
「政府は学校の夏休み明け前後に子どもの自殺が増加する傾向であることから、自治体・企業への働きかけなどを強力に展開していくとしています」
内藤ミカ・日本テレビ社会部記者(こども家庭庁担当)
「去年、全国で自殺で亡くなった小中高生は538人(厚生労働省などによる)。統計がある1980年以降、過去最多となりました。日本では10代の男女における死因の中で最も多かったのが自殺で、深刻な社会問題となっています」
忽滑谷こころアナウンサー
「こうした中、最新の研究で明らかとなったのが、SOSを出せない子どもたちの存在です」
内藤記者
「東海大学などの研究チームは、自殺未遂で搬送されて入院した子どもたちが周囲に相談できていたかを調べるため、18歳未満の患者100人を対象に調査を行いました(松成夏美、三上克央、宇佐美政英など東海大学・国立健康危機管理研究機構の研究発表より)」
「その結果、76人の患者が『死にたいという気持ちを誰にも打ち明けていなかった』と回答しました」
忽滑谷アナウンサー
「この数字を見ても、約8割の子どもたちが相談していない、つまりはSOSを出せていなかったということが分かります」
桐谷美玲キャスター
「私も子ども時代を振り返ると、ちょっと嫌なことがあった時とかに、親や身近な人になかなか知られたくなかったり、相談しにくかったりしたなということもあったのを思い出しました」
「ただ、話すと少し楽になることもありますし、今だとAI相手に話せたり、ゲームなどにも居場所を見つけられることができたりすると思うので、少しでも楽になる場所が見つかるといいなと思いますね」
山﨑誠アナウンサー
「子どもは大人が思っている以上に感受性が豊かで、いろんなことに気づいてるんですけど、本人がそれを認識していなかったり、認識していても言葉にする術がなかったりということがあります。その点を大人が把握するということが大切ですよね」
内藤記者
「研究した東海大学医学部の三上克央教授は、相談しなかった子どもたちについて、『何らかの理由で幼少期から長い間相談や感情表現ができなかったり、しなかったりしたという印象だ』と話しています」
「また自殺未遂をした理由についての回答でも、不明確・あいまい、つまり分からないといった答えが多く、苦しみを言語化できないケースが目立ったといいます」
忽滑谷アナウンサー
「自分の気持ちを伝えたくても、なかなか言語化できないという子どもも多いということですよね」
内藤記者
「中央大学人文科学研究所の客員研究員で、精神看護学が専門の高橋聡美さんは、SOSを出したくても出せない子どももたくさんいるとみています」
「高橋さんによると、そういった子どもたちの事情としては、まず単純に自分の気持ちを言語化できない、性被害や虐待など事態が深刻すぎて打ち明けることができない、ということがあります」
「そして特に多いと感じるのは、心の傷の自覚がない子どもたちだといいます。虐待やいじめを『自分はこういうことをされて仕方がないんだ』と自分を責めてしまう、また親のしつけだと思うなど、心の傷に気づかない子どもたちが多くいるといいます」
忽滑谷アナウンサー
「こういった子どもたちに対してできるアプローチには、どんなことがあるのでしょうか?」
内藤記者
「子どもや若者が自分の心のSOSを発信できるようにと取り組んでいる自治体があります。7月31日に、兵庫県明石市の教育委員会による『明石こどもサミット2026』のワークショップが行われました」
「公立学校に通う小中学生が、悩んだ時に誰に相談するか意見を出し合っていました」
小中学生
「心配されるから親には(相談)しないかも」
「AIにもする」
「AIにもするし、人間にもする」
「AIがほとんどじゃない?」
「AIの方が気楽でいいよ」
「先生には相談しない?」
「しない、絶対しない」
「大ごとにされるもん」
内藤記者
「このワークショップの講師を務めた高橋さんに、子どもたちに伝えたいことを聞きました」
「まず、ささいなことでも嫌なことは嫌と言う。言うことは悪くないということです。そして、勇気を出して誰かに頼る。たとえ身近な大人が話を聞いてくれなくても、諦めないで3人目までの大人に伝えてもらえたらと話しています」
鈴江奈々アナウンサー
「『AIの方が気楽』『何でも話せる』という子どもたちは多いと思うんですけど、一方で目の前の問題を解決しようと思うと、周囲への相談が大事になってきます。相談しやすい環境を私たち大人がつくっていくことが大事ですね」
忽滑谷アナウンサー
「SOSを出せない子どもたちに対して、我々大人が心掛けるべきことはどんなことでしょうか?」
内藤記者
「高橋さんは、大人は子どもを子ども扱いすることなく、子どもたちと対話をすることが重要だと訴えています」
「また政府は、子どもや若者に接する大人ができる4つの役割として、『変化に気づく』『じっくりと耳を傾ける』『支援先につなげる』『温かく見守る』のうち、どれか1つでもできるだけでも、悩んでいる子どもたちに大きな支えになるといいます」
忽滑谷アナウンサー
「もし今、様々な心の悩みを抱えていて、誰かに相談してもいいかもと思った方がいたら、『まもろうよこころ』で検索してください。相談窓口が載っています。電話で話しづらい方はチャット型の窓口もありますので、ぜひ利用してみてください」
(2026年8月20日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
【みんなのギモン】 身の回りの「怒り」や「ギモン」「不正」や「不祥事」。寄せられた情報などをもとに、日本テレビ報道局が「みんなのギモン」に応えるべく調査・取材してお伝えします。(日テレ調査報道プロジェクト)