日本人の50人に1人が該当するといわれている “ひきこもり” 。 当事者や家族を支援しようと行政はつながりを模索していますが、課題も大きいようです。
ノートに黙々と予定を記入する男性。 長岡市に住む昇太さん(36)です。
【昇太さん】 Q.予定を書き出すとどんな気持ち? 「一番は安心感が持てることですね」
昇太さんは2年前にいわゆる “ひきこもり” 状態となりました。 きっかけは子どもの頃から患っていた発作を伴う病気だったそうです。
【昇太さん】 「(発作が)立て続けに起こる その前後の週とかはやっぱり不安っていうか」 「家からちょっと出る勇気がない」
発作の不安で家から出られなくなり…
もともとテニスのインストラクターをしていましたが、仕事中にも症状が出るようになり、辞めざるをえなくなりました。
【昇太さん】 「好きな仕事ではあったんですけど、でもやっぱりお客さんとか職場の人のにも迷惑がかかってたので」
ひきこもり状態になったのは仕事を辞めてからです。 発作がいつ出るかわからないという不安から、家から出られなくなりました。
【昇太さん】 「場所がちょっとなかなか見つけられなかったり。生徒さんと会うっていうのもやっぱり怖くて。そんな感じでしたね」
全国で約146万人がひきこもり状態に
ひきこもりとは『何らかの生きづらさを抱え、他者との交流が限定的な状態』とされています。
内閣府が2023年に実施した調査では、国内では15歳から64歳の約146万人がひきこもり状態にあると推計されています。 これは日本人の50人に1人にあたります。
長岡市は、市内で約2800人と見込んでいます。
「急に社会に出て働くのは難しい」
こうした中、長岡市は2024年『ひきこもり相談支援室』を開設しました。
【面談のようす】 「全然働けるじゃんって思っていますけど」 「急がないでやりますか」
これまでに寄せられた相談は約3000件にのぼります。
【長岡市 ひきこもり相談支援室 柴野 裕治 室長】 「経済的に自立したいとか、就職したいっていうのがどうしてもメインの相談になります」 「今まで自宅にこもりがちだった人が、急に社会に出て正社員で働くていうのは非常に難しいんですね」
また、長岡市は社会体験の場を提供するため、ロボットを活用した遠隔での就労体験なども行っています。
自宅訪問 半数は当事者と面談できず
相談支援室の職員は、必要があれば定期的に当事者の自宅を訪れ、面談を行っています。 この日、保健師が向かったのは10年以上ひきこもり状態となっている40代の男性の自宅。 2年ほど前、70代の両親から相談を受けました。
【長岡市 ひきこもり相談支援室 柴野 裕治 室長】 「高齢になってくると、余計に先々の不安っていうのは、すごく高まってくるんだろうなっていうのはありますよね」
しかし、まだ本人とは一度も面会できていません。 長岡市は30人を超えるひきこもり当事者への自宅を訪問していていますが、その半数は本人に会えていないのです。
この日も男性には会えず、約1時間半かけて家族と今後の対応について話し合いました。
【長岡市 ひきこもり相談支援室 小田原 悠莉子さん】 「家族が自分のことを相談しているというのを、ご本人がどう感じ取り、家庭内からの変化が起きるのか」 「そういう面では、自宅に伺うっていうのは、(本人には)会えないけれど意味はあることなのかなと思っています」
「人生に寄り添いながら長期で支援する」
ひきこもりは、はじまったきっかけや状態が異なるため、個々に応じた対応が求められます。
【長岡市 ひきこもり相談支援室 柴野 裕治 室長】 「いわゆる伴走型支援と言いますけども、常にその方の人生に寄り添いながら、長期で関わっていく、というような支援をしています」
こうした中、長岡市は2024年にひきこもり状態の人が集える場所として『居GURA(いぐら)』を開設しました。
ひきこもりの生活を送っていた昇太さんは、開設当初から週2回『居GURA』を訪れています。
【昇太さん】 「とりあえず何か “居場所” が欲しかったんですよ。やっぱり自分1人で家にいると体調とかも崩すので」 「(居GURAでは)いろいろ作業もできるし、あと相談できる人もいるので、終わった後って心がすっきりして、しっかり寝られるんですよ」
どうつながり、寄り添い続けるか…
ひきこもり状態から前に進むためには「家の外で心穏やかに過ごせる場所に出会い、人とのつながりや社会経験を少しずつ取り戻していくことが大切」だと言われています。 こうした “居場所” は新潟県内の各地で設けられています。
【昇太さん】 Q.今の目標は? 「今いろんな人に助けてもらってるので、(居GURAのような)その場ができてるので、まず仕事ができるような体調を取り戻すことと」 「あとは、しっかり自己管理ができるようになることですね」
それぞれの事情を持つひきこもり当事者と、どうつながり、寄り添い続けていくのか。 行政の模索が続いています。