「船の体育館」解体、一時中断へ 高松地裁が異例の「待った」

丹下健三設計の旧香川県立体育館(船の体育館)=高松市=の解体費用の支出差し止めを求める住民訴訟で、香川県は3日、高松地裁の要請に従い解体工事を1カ月間中断すると発表した。住民側が要請した耐震性能の再鑑定のための現地調査を裁判所が認め、県が建物本体の解体に着手する前に司法が異例の「待った」をかける形になった。
住民訴訟は、民間資金で旧県立体育館の再生活用を提言している有志団体「旧香川県立体育館再生委員会」委員長の建築家、長田慶太さんが池田豊人知事を相手取り、2025年11月に提訴した。
県が12年に実施した耐震診断を解体の根拠としていることの是非などが争点。原告側は、建物本体の耐震性能を再鑑定する現地調査を求め、26年1月に建物を現状維持するため「証拠保全」を申し立てた。
一方、県は「一日も早く安全を確保する」などとして工事を進め、9月に本体の解体に着手する予定だった。しかし、高松地裁から現地調査の実施の提案を受け、「裁判所の訴訟指揮に従う」として9月15日から10月14日の間、工事を中断することを決めた。
原告側は中断期間に地盤やコンクリート強度などを現地調査し、その後、裁判所が選んだ専門家による耐震鑑定が行われる見通し。ただ、県は「中断期間の終了後は、直ちに解体工事を再開する」として、鑑定結果が出るまで待たない考えだ。再開後は、1~2カ月かけてアスベストを除去し、その後本体解体に着手することが見込まれるという。
そのため、鑑定結果が出る前に建物が失われてしまうことが懸念されており、長田さんは「現地調査の必要性を司法が認め、県も受け入れた。県は、少なくとも鑑定結果が出るまで解体工事を止めるべきだ」と話している。【森田真潮】