カンボジアでの臓器移植を巡る有償あっせん事件で、警視庁は4日、大阪市淀川区にある医院の男性院長(73)を臓器移植法違反(有償あっせん)ほう助容疑で東京地検に書類送検した。院長は一般社団法人「国際医療相談室」(東京)からの依頼で、移植を希望する患者の検査を行い、現地の執刀医側への紹介状を作成した見返りに謝礼金計約300万円を受け取っていたという。
同庁は移植を受けた東京都と千葉県に住む70歳代と60歳代の男性患者2人についても、相談室の実質的運営者とされる菊池仁達(ひろみち)被告(66)(臓器移植法違反で起訴)にあっせんの対価を支払ったとして同法違反容疑で書類送検した。
捜査関係者によると、院長は昨年2~12月、患者2人に血液検査を受けさせ、現地の執刀医側への紹介状を作成して菊池被告に送付。菊池被告が海外移植をあっせんした患者2人から対価として現金を受け取るのを手助けした疑い。
紹介状は相談室から中国人コーディネーターを通じ、中国人の執刀医側に渡っていた。院長は任意の調べに容疑を認め、「菊池被告から複数回に分けて謝礼として計約300万円を受け取った」と話しているという。
警視庁が押収した紹介状には、患者の氏名や住所、血液検査の結果などとともに、英語で「患者は腎臓移植に適応している。あなたの病院で移植を受けたいので手配をお願いします」と書かれていた。
移植手術はプノンペンにある国防省傘下の「プレアケットメリア病院」で行われた。生体移植で、患者2人に移植された腎臓のドナーはカンボジア人とみられる男女だった。
患者は術後、他人の臓器を拒絶する反応を抑えるため、免疫抑制剤の投与が定期的に必要になる。ところが患者2人は帰国後、相談室から紹介された病院に通院を断られていた。2人は自ら通院先を探し、現在の体調は落ち着いているという。任意の調べに、いずれも容疑を認めている。
院長は先月13日、読売新聞の取材に「私も被害者だ。それ以上申し上げることはない」と話した。