高市首相が17日実施した内閣改造で、連立を組む日本維新の会から中司前幹事長が入閣。大臣送り込みで党は得意の絶頂だろうが、日刊ゲンダイの調べで重大な疑惑が発覚した。2月の衆院選の期間中、違法な疑いのある広告動画に維新の複数候補者が出演していたのだ。
日刊ゲンダイはこれまで、複数の自民候補が違法な広告動画に出演していた疑惑を6回にわたってスクープ。公職選挙法は選挙運動のための有料ネット広告の配信を禁じているが、37人の出演が分かっている。
今回、発覚したのは維新の衆院議員6人。神奈川10区から出馬した金村龍那議員、滋賀1区の斎藤アレックス議員、兵庫6区の市村浩一郎議員、兵庫7区の三木圭恵議員、兵庫11区の住吉寛紀議員、兵庫12区の池畑浩太朗議員だ。全員が比例復活を果たしている。いずれも、動画の構成が同じなため、組織的関与がうかがえる。
例えば、斎藤議員が出演する動画は冒頭から四十数秒にわたり吉村代表が登場する。街頭演説でよく着用している緑色のジャンパーを身にまとい、イキった表情で「日本維新の会は連立政権、そして新たな政策に向けてアクセル役になります」などとスピーチ。バックには勇ましげなオーケストラ風の音楽が流れている。
吉村代表が話し終えるや、地元事務所前に立つ斎藤議員の動画にスイッチ。カメラ目線で自己紹介し「停滞から成長へ。動かすぞ、維新が」と語り、握った左拳をヒョイッと掲げている。画面上部には選挙区支部名が記され、下部には斎藤議員が話した内容のテロップが表示。長さは全体で約1分だ。
他の5人についても、構成はほとんど同じ。いずれの広告動画も投開票日前日の2月7日まで流されており、出稿者は民間企業だった。
■複数の陣営から「危険すぎる」の声
公選法は、選挙期間中の候補者本人による有料のネット広告の出稿を禁じているが、例外として政党の政治活動の一環としての広告動画の配信は容認している。しかし、候補者本人の顔と名前、選挙区を映しているのだから、選挙活動の一環と受け止めた有権者の投票行動に影響を及ぼしてもおかしくない。
公選法を所管する総務省のガイドラインによれば、選挙期間中に許容されるネット広告は、有権者が自らクリックして初めて政党HPにたどり着く小さなバナー形式。候補者の顔と名前を映した動画を一方的に流す広告は、明らかにガイドラインから外れている。
日刊ゲンダイは、維新の党本部と6人の議員事務所、民間企業に質問状を送付。民間企業からは党本部に質問してほしい旨の回答があった。党本部は、6議員の見解を一本化し〈ご指摘の有料広告は、党本部が政治活動として掲載したもので、公職選挙法および総務省のガイドラインに則った適正なものです〉と、木で鼻をくくったような回答だった。
しかし、これが許されれば広告動画を流す資金力がある候補ばかりが有利になり、選挙の公正を歪めかねない。ある維新関係者はこう言う。
「今回の広告動画の作成に各陣営は全く関わっていません。日刊ゲンダイの質問状で、こうした広告動画が流されていたことを初めて知ったほどで、皆、驚いている。『動かすぞ、維新が』などと語る候補者本人のショート動画を入手した党本部が、勝手に吉村代表のスピーチ動画とくっつけて編集したのは明らかです。ある陣営の関係者は『何でこんな危険な広告動画を勝手に流すのか』『危ない橋を渡らされた』と怒り、不信感を募らせています」
さすがはチンピラ政党、である。
(取材協力=桜井杏里/ジャーナリスト)
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