【クマ出没】専門家が警告「今秋は街に出るクマが増える可能性」 親子で“街の味”を知り当然のように下山 “学習済み”のクマが増加で「より市街地へ進出」も

本格的な秋の訪れを待たずして、各地でクマの出没が相次いでいる。9月3日、京都府舞鶴市の住宅地で、ツキノワグマの親子2頭が民家の軒下に居座る事態が発生。近隣に学校や病院があるため、市は府内初となる「緊急銃猟」に踏み切った。自治体の判断で市街地での発砲を認める制度だ。麻酔銃で眠らされた2頭は、そのまま殺処分された。
11日には長野県塩尻市で、犬の”悲鳴”を聞いた飼い主が、庭先で愛犬に覆いかぶさる体長1m近い成獣を金属バットで撃退。さらに同日、秋田県羽後町では銀行近くに現れたクマが町立図書館の敷地内に約2時間留まり、猟友会員4人が10発発砲して駆除した。
クマ出没のニュースを見聞きすると、昨年秋の惨状を思い返す人も多いだろう。環境省によれば、2025年度のクマによる人的被害者数は238人で、うち13人が死亡。これまで最多だった2023年度の被害者数219人、死亡6人を大きく上回った。被害は冬眠を前にしたクマが餌を求めて動き回る秋に集中する。
今年度は7月末の時点ですでに6人が死亡しており、2023年度の年間死者数に、わずか4か月で並んだ。昨年はクマの主食となるドングリやブナの実の大凶作が、出没につながったと考えられている。今年は一転して豊作が予測される地域も多い。しかし、クマの生態に詳しい岩手大学農学部准教授の山内貴義さんは「山にある餌の有無に関係なく、今秋は街に出るクマが増える可能性がある」と警鐘を鳴らす。
「”街では餌が手に入り、人間も怖くない”と学習した個体が増え、下山してくる懸念があります。子グマは母グマと1年ほど行動を共にするため、親子で”街の味”を覚えると、親離れ後も当然のように山を下りてきてしまう。こうして親から子へ引き継がれた結果、学習済みのクマが増加しているのです。近年の大量出没は餌不足によるものだけではなく、こうした継承も大きな要因とみています」(山内さん・以下同)
クマ特有の繁殖生態も拍車をかける。授乳中のメスは発情しないため、オスはメスを発情させようと「子殺し」に走る習性がある。逃れた母子グマが、市街地に隣接する林で子育てをするケースもあるという。
こうした要因が重なり、近年、市街地周辺を生活圏とする「アーバンベア」が急増している。それに伴い危惧されているのが、出没エリアのさらなる拡大だ。今年4月には宮城県仙台市の中心部にクマが出没し、マンションの敷地内に十数時間留まり緊急銃猟で駆除された。東京でもJR八王子駅からわずか5kmの住宅街で目撃され、6月には宇都宮市の繁華街にも現れた。
「クマは私たちの生活圏へ確実に近づいています。今後、より市街地へ進出してくる可能性を視野に、充分に警戒してほしい」
最恐の秋は、すぐそこに迫っている。
※女性セブン2026年10月1・8日号