習近平の母校「清華大」への留学で炎上した29歳福岡市長候補、「完璧な物語」に生じたほころび

11月15日投開票の福岡市長選に出馬を表明した佐々木彩乃氏(29)の中国留学歴をめぐり、SNSでさまざまな憶測が広がっている。清華大学が習近平国家主席の母校であることも、ネットの炎上を加速させた。
【画像】2020年、九州大学は佐々木氏が「清華大学シュワルツマンスカラーズプログラム」に選ばれたと紹介した
中国を専門とし、かつて福岡で新聞記者をしていた筆者が気になったのは、佐々木氏が清華大学で学んだことよりも、それまで何度も公表されてきて、AIに聞けば容易に判明する「清華大学」在籍歴が、福岡市長選向けに立ち上げた公式サイトから、不自然なほどきれいに消えていることだ。
■孫正義氏も諮問委員会メンバー
最初にはっきりさせておきたいのは、清華大学で学んだという事実だけから、中国共産党との政治的な近さを推測するのは無理があることだ。
軍事技術との関係が深いとされる「国防七校」のように、日本政府が安全保障上、慎重な対応を求める中国の大学群もあるが、清華大学はそういう学校ではなく、国際的に認められたトップ級の学術機関である。 中国人ですら「習近平の母校ね」という反応はしない。
イギリスの高等教育専門誌・Times Higher Education(THE)の世界大学ランキング2026で、清華大学は世界12位。東京大学は26位だった。
欧米経済界との関係も深い。清華大学経済管理学院の諮問委員会はアップルのティム・クック前CEOが会長を務め、2025~26年のメンバーにはテスラのイーロン・マスク氏、マイクロソフトのサティア・ナデラCEO、メタのマーク・ザッカーバーグCEO、ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン氏、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長らが並ぶ。2026年5月には、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOも同委員会への参加に同意したと報じられた。
清華大学に連なる存在を怪しいと思う人たちは、これらの企業の製品も避けてしかるべきである。
■市長選サイトでだけ消えた「清華大学」
佐々木氏にとっても、清華大学Schwarzman Scholars Program(シュワルツマンスカラーズプログラム)で修士号を取得したのは、経歴上のハイライトだったと考えられる。2020年、九州大学は、佐々木氏が「清華大学シュワルツマンスカラーズプログラム」に選ばれたと紹介した。その後、彼女のプロフィールには必ず「清華大学」と明記されてきた。