台風被害で千葉の旅館「予約は全てキャンセル」、動物園「豪雨以降の売り上げは想定の1割」…観光地に爪痕

台風25号は千葉県内の観光地に大きな被害をもたらした。施設の被害にとどまらず、交通網の途絶が客足に影響を与えており、秋の行楽シーズンを前に、関係者は落胆している。
流木に覆われた遊歩道、土砂崩れで倒壊した土産物店だった建物――。関東一遅い紅葉の名所として知られる「養老渓谷」(千葉県大多喜町、市原市)では、台風25号による土砂崩れなどで、旅館組合に加盟する九つの旅館や民宿全てが停電し、一部で断水が発生した。
「冷蔵庫の約70万円分の食材がだめになった。建物に被害がなかったのがせめてもの救い」。旅館「黒湯の宿 喜代元」代表の秋葉保雄さん(67)は疲れた表情で話した。
台風が接近した21日夕方に停電が発生。非常用電源やプロパンガスを使い、ランタンの明かりで6組18人の宿泊客に食事を提供した。旅館に面する県道では土砂崩れが起き、翌日昼過ぎに従業員が車で客の車を迂回(うかい)路に誘導して、何とか送り出すことができた。
停電や断水の復旧の見通しが立たないため、当面の予約は旅館側から全てキャンセルした。いつ営業を再開できるかわからず、損害額がどれぐらいになるのか見通せないという。秋葉さんは「11月中旬からの紅葉シーズンには復旧を終え、お客さんを迎え入れたいのだが……」と不安を隠せなかった。
千葉県袖ケ浦市のテーマパーク「東京ドイツ村」では、複数箇所で土砂崩れが発生した。子供向けのジェットコースターには土砂と木々が流れ込み、復旧の見通しが立たない状況だ。
コスモス畑(約6300平方メートル)では8月の千葉豪雨でまいたばかりの種が土ごと流出し、残った種がようやく芽吹いたところだったが、今回の台風で流された。
停電が復旧し、24日に営業を再開したものの、JR内房線の運休や道路の通行止めが影響し、台風が過ぎて最初の週末となった26日の客足はまばら。広報イベント担当の中島壮さん(51)は「開店休業状態。修繕費用も含めると損害はかなり大きい」と明かす。
同県市原市の「市原ぞうの国」では、飼育小屋近くのフェンスが倒木で壊れた。駐車場も土砂に覆われ、3分の1ほどしか車を止められない状態という。担当者は「千葉豪雨があったお盆から、台風25号が襲来したシルバーウィークにかけての売り上げは想定の10分の1程度。土砂の後始末もしなければならず、経営が大変だ」と話した。
一方、神奈川県鎌倉市ではJR鎌倉駅周辺で大規模な冠水が起きたが、復旧が進んだ。駅近くの商店街「小町通り」には26日、客足が戻った。
小町通りで串焼き店など3店舗を経営する男性(48)は2店舗が浸水し、シルバーウィーク中の売り上げは予想の半分ほどに落ち込んだ。男性は「食べ歩きが人気の鎌倉は天候に左右されやすい。今は元気に営業しているので、多くの人に訪れてもらえたら」と期待した。