台風25号が関東地方に最接近してから28日で1週間となる。27日には神奈川県三浦市で新たに1人の遺体が見つかり、千葉、神奈川両県での死者は13人となった。堤防が決壊した千葉県北部の印旛沼(いんばぬま)周辺では、関東地方に接近する恐れがある台風26号に備え、国や県が復旧を急ピッチで進めている。
台風25号、関東被害1週間
神奈川県三浦市南下浦町上宮田では27日午後1時頃、土砂に巻き込まれて安否不明だった20歳代女性の遺体が見つかった。「夢であってほしい」。妻の生存を祈り続けた夫(26)は警察署に妻の母と行き、妻と面会した。「帰ってきてくれてよかった」と声を絞り出した。
出会った5年前の印象は「無愛想」だった。それでも強気なことを言ったと思えば甘えてくる女性だなとひかれた。4年ほど前から一緒に住み始め、2年前の10月16日に結婚した。妻の手料理で一番好きだったのはオムライス。夫の体重が増えたことについて冗談めかす言葉をケチャップで書いたこともあった。
台風が最接近した21日は妻が職場まで車で送ってくれた。さらに雨脚が強くなったのは午後1時頃。職場の判断で早退することになり、「早めに帰るね」と電話で伝えた。迎えに来てもらおうと午後3時前後に何度も電話をしたが、つながらなかった。
職場の人に車で自宅近くまで送ってもらうと、消防や警察が集まっていた。何が起きたかすぐに理解できずにいると、土砂に押しつぶされた自宅が見えた。何も考えられず、そこからの記憶はあいまいだ。
妻の母と現場で捜索を見守った。土砂の中からは、プレゼントしたくしや結婚指輪のケースが見つかった。「暗いけど、もう少しだからね」。来月の結婚記念日は群馬県の草津温泉で過ごし、動物園に行くつもりだった。必ず会えると信じていた。
27日昼頃、寝室から妻が枕元に置いていた「ちいかわ」のぬいぐるみが見つかり、別の場所から遺体も運び出された。「見つからないままなら、生きていると信じ続けられるのに」
捜索してくれた人たちには感謝しかない。それでも受け入れるには時間がかかると思う。「オムライスをもう一度食べたかった」(横浜支局 大倉靖萌)
千葉、神奈川 死者13人に
千葉、神奈川両県では27日午後5時時点で、死者が千葉県で8人、神奈川県で5人となった。千葉県では死者8人のうち7人が、神奈川県では5人全員が土砂崩れが関係している。
台風は千葉県での被害が大きく、住宅被害は同県で全壊40棟、半壊57棟、一部破損66棟、床上浸水673棟、床下浸水861棟に上る。
千葉県北部にある印旛沼では、直結する河川を含め3地点で堤防が決壊。国や県が応急復旧を進めており、国土交通省関東地方整備局は27日、100メートルにわたって壊れた堤防について28日に土砂の投入を始めると発表した。
東京電力パワーグリッドによると、千葉県内では27日午後5時現在、約4780軒が停電。県によると、同日午前6時半現在、1299戸で断水が起きている。