台湾有事をめぐる高市総理の発言以来、日中関係は悪化したままです。 そんな中、岩屋前外務大臣が中国を訪問し、王毅外相らが会談に応じる厚遇を受けました。 中国側にはどんな思惑があるのでしょうか。
次はハシビロコウ? 新たなパンダ来日は“当面困難”
じっと動かず、一点を見つめるハシビロコウ。 2026年4月、上野動物園を視察した小池都知事が“推し”たのが、この鳥でした。
東京都 小池百合子 知事 「推しですね、これは。醸し出す雰囲気がなんとも“キモカワ”でいいと思います」
PRの理由は、1月にパンダの「シャオシャオ」と「レイレイ」が中国に返還され、上野動物園からいなくなったためです。
それから9か月。賑わいがなくなったパンダの森は、時が止まったような静けさに覆われています。
新たなパンダの来日は、現在の厳しい日中関係を受け、当面困難な状況。
岩屋前外務大臣の訪中に異例の“厚遇” 副首相らと会談
そうした中、29日、岩屋毅前外務大臣の北京訪問。日本企業の幹部ら約50人を率いての訪中でした。
29日、面会したのは経済政策を担当する何立峰副首相。
何立峰 副首相 「今回、岩屋会長が代表団を率いて中国を訪問したことは、中日間の経済・貿易関係の発展をさらに促進するものになると確信しています」
日中関係が冷え込んで以来、日本の政治家と中国要人が公式に会談するのは初めて。
岩屋毅 前外務大臣 「日本との経済交流、民間交流については、中国側は決して後ろ向きではない。むしろ前向き、肯定的であると、私自身は受け止めた」
「異例の厚遇」とも見えた一方で、中国側から厳しくクギをさされたのが「台湾問題」です。
何立峰 副首相 「一部の日本の政治家が軍国主義をよみがえらせたり、『台湾問題』において中国のレッドラインに触れたりすることが、客観的に見て、直接的・間接的に中日間の経済・貿易関係の発展に影響を及ぼすことになる」
また、王毅外相は「現在の中日関係は再び厳しい局面に直面しており、改めて正常化を実現する必要がある」と強調したのです。
国交正常化から54年 当時から「台湾問題」懸案に
折しも、今回の会談が行われた9月29日は、日中にとって特別な日でした。
今から54年前のこの日、日本と中国は共同声明に調印し、国交を正常化。この時から、「台湾問題」は大きな懸案でした。
田中角栄 総理(1972年9月 当時) 「誰がやっても困難な『台湾問題』とかそういう難しい問題は、自民党や政府がやり、いずれにしても日中の国交正常化は不可避だというが、私はおよその世論だと思う」
「日中共同声明」では、中国側からは「台湾が中国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明」、日本側からは「中国の立場を十分理解し、尊重」という文言が盛り込まれました。
その後、歴代の政権はこの問題について、台湾との関係を「非政府間の実務関係」に限定。いわゆる台湾有事の際も、日本やアメリカがどう動くのかといった点について「曖昧さ」を保ってきました。
例えば2024年、当時の岸田総理は、台湾有事の際、日本は「存立危機事態」を認定して、集団的自衛権を行使するのかと問われても…
岸田文雄 総理(2024年2月 当時) 「個別具体的な状況に即し、情報を総合して判断することとなるため、一概に述べることは困難」
「存立危機事態」とは、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされるといった事態で、自衛隊による「武力行使」が可能となっています。
しかし、2025年11月、高市総理は…
高市総理(2025年11月) 「戦艦を使って武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても『存立危機事態』になり得るケース」
中国が台湾に武力行使した場合、「存立危機事態になり得る」として、日本の武力行使が可能と解釈できる発言となったのです。
これに中国は発言の撤回を要求するなど猛反発。「怒り」の訳を、専門家は…
東京女子大学(現代中国政治)高原明生 特別客員教授 「色々な仮定の条件が加わって、やっと日本は武力を行使できるようになる。とっても複雑な話。しかし中国側は単純化して捉えてしまって『我々が台湾に出張っていったら、日本は軍を送ってくるんだ』と、『自衛隊を送ってくるんだ』と、そういう風に捉えたわけです」
それから、まもなく1年。日中関係が冷えきった中、今回の「異例の厚遇」は何を意味するのでしょうか。
何副首相「水が流れれば自然と水路ができる」 中国側の思惑とは?
何立峰 副首相 「中日国交正常化して半世紀以来、中日間の経済・貿易関係は絶えず発展を遂げてきました」
今回、日本側を異例の厚遇で迎えた中国。何副首相は「水が流れれば自然と水路ができる」という中国の四字熟語をあげ、条件さえ整えば物事は自然に成就すると示唆したといいます。
中国側の思惑とは…
東京女子大学(現代中国政治)高原明生 特別客員教授 「中国側にとってみても、厳しい対日措置をとって何か得があったかと言うと、何にもない。いま中国経済は非常に良くない。『そろそろ対日関係を変えないといけないのではないか』という声が出てきた。夏ぐらいから中国の姿勢が少し変わってきた、言ってみれば和らいできた」
その上で、中国側はどこに落としどころを見つけようとしているのでしょうか。
東京女子大学(現代中国政治)高原明生 特別客員教授 「中国は拳を振り上げると高い木に高く登りすぎてしまう。降りられなくなってしまう。だから、ひとつの措置として、一番彼ら(中国)が気にしているのは経済ですから、経済交流が盛んになるような、少しずつカーテンをまずは開け、それから窓を開けるということを少しずつやっていくのではないか」
日本企業の幹部らを率いた今回の会談を糸口に、日本と中国の関係改善はあるのか―。
国交正常化から54年となった29日。上野動物園から返還されたパンダが四川省で公開され、日本から訪れた観光客は…
日本人観光客 「上野と全然変わっていないですし、可愛いですね」
“日中友好のシンボル”が、再び日本に来ることはあるのでしょうか。