「外国人を取り上げた動画が原因」“嫌悪感”でモスク放火 思いこみで「頭にきて懲らしめてやると…」【裁判詳報】

札幌地裁で2026年9月24日、非現住建造物等放火などの罪に問われている千歳市の石井遼太郎被告(37)に対する初公判が開かれました。
起訴状によりますと、石井被告は2026年2月、江別市角山のパキスタン人が管理する会社事務所兼住宅や、イスラム教の礼拝所=モスクに火をつけて全焼させた、非現住建造物等放火などの罪に問われています。
白いワイシャツに黒色のズボン姿、坊主頭で証言台に立った石井被告。
裁判長が起訴状に間違いないかを問うと、石井被告は「間違いないです」と起訴内容を認めました。
【検察の冒頭陳述】
検察は、事件の起こした背景には石井被告が日ごろ感じていたストレスや、外国人への怒りなどがあると主張しました。
・大学卒業後、農業を営んでいる実家で働いていたが、満足する金銭をもらえずストレスが溜まっていた
・実家の農地に外国人が無断で入ってきていたこと
・動画サイトでパキスタン人の違法建築や車の盗難についてを取り上げた動画を見たことや、自宅に置いていたチェーンソーが事件前に紛失したことを外国人が盗んだと思いこみ、怒りを募らせた
石井被告が外国人を日本から追い出そうとしたことが事件の背景にあると述べました。
【弁護人からの被告人質問】
Q:犯行についてどう思う?
A:とんでもないことをした。単独犯で誰にも命令されていない。
Q:健康状態に不安があった?
A:犯行前の年末年始ごろ頭が痛かった。コメ農家として儲けがないことも不安だった。
Q:農地にやってくる外国人についてどう思っていた?
A:数年前は何とも思っていなかったが、最近増えたと感じていた。敷地内に勝手に入ってきて気に入らないと思った。
Q:外国人を取り上げた動画は見た?
A:勝手に流れてくるので結構見ていた。自分からも見た。違法建築や盗難車があることを知った。外国人に対してだんだん怒りを感じた。
Q:外国人に対し、変な思想はある?
A:変な思想はないと思っていたけど、動画の影響はあったと思う。
Q:チェーンソーを紛失したことについては?
A:飼っていたヘビの為に木をどこかから切って持ってきたいと思って、自宅にチェーンソーを置いていた。そのためのチェーンソーの燃料として油も家に置いていた。チェーンソーが盗まれて、外国人の仕業だと思って、頭にきて懲らしめてやると思った。
Q:なぜ放火した?
A:チェーンソーに使おうと思っていた油が家にあったので、放火に使おうと思った。
Q:1回目の放火については?
A:(外国人を日本から追い出すため)動画で出てきた大きな会社を放火したら目立つと思った。
Q:2回目の放火については?
A:1回目で外国人が日本から出ていくと思ったが、出ていかなかったので2回目の放火をした。放火未遂で終わったことから報道されず、目的を達成できなかった。
Q:なぜ3回目で礼拝所=モスクを放火した?
A:宗教的なシンボルだから、放火したらパキスタン人が日本から出ていくと思った。
Q:今はどう思う?
A:バカなことをしたと思っている。建物の持ち主とその付近の人、消防士、家族に迷惑かけた。(外国人を取り上げた)動画が原因だと思う。
【検察による被告人質問】
Q:今回のことを相談できる人はいた?
A:いるけど、人に話したくなった。誰かに話すべきだった。チェーンソーが盗まれたことも警察に言えばよかった。
Q:これからどうする?
A:これからは誰かに相談する。(反省しているから)頭を丸めた。服役後は社会にしっかり戻りたい。犯罪はもうしない。
【裁判官による被告人質問】
Q:今回の原因はチェーンソーを紛失したことと、外国人を取り上げた動画に影響されて外国人を日本から追い出そうと思った?
A:はい。
Q:独り暮らしだと今後も動画を見てしまうのでは?
A:ネットを見ないでラジオを聞く。ネットは見ない方が良い。特定のものを見るのはやめておく。
【検察側の論告・求刑】
検察は、犯行を複数回重ねていたことや、事件前に現場を確認していることから、一定の計画性が疑われることを指摘しました。
被害総額は約2000万円で、火という極めて危険な犯行だったことから情状酌量の余地はないとして拘禁刑9年を求刑しました。
【弁護側の最終弁論】
弁護側は、外国人に対して日々の鬱屈(うっくつ)がたまっていた状態での八つ当たり的な犯行で、石井被告が思想犯ではないと主張。
反省している様子や、親の監督下にあることから情状酌量を求めました。
【被告人の最終陳述】
裁判の最後に、裁判長から何か言いたいことはありますかと問われた石井被告は、「色んな人に迷惑をかけて申し訳ない」と一言述べました。
判決は2026年10月29日に言い渡されます。