富山市で2018年、交番で警察官を刺殺して拳銃を奪い、近くにいた警備員を射殺したとして強盗殺人罪などに問われた元自衛官島津慧大(けいた)被告(30)に対する差し戻し審の裁判員裁判が5日、富山地裁(結城真一郎裁判長)で始まった。罪状認否で島津被告は沈黙し、弁護側は強盗殺人罪は成立せず、殺人罪と窃盗罪を適用すべきだと改めて主張した。
起訴状などによると、島津被告は18年6月26日、富山市久方町の富山中央署奥田交番で、稲泉健一警部補(当時46歳、殉職後2階級特進して警視)をナイフで刺殺。拳銃を奪い、交番から約100メートル離れた市立奥田小学校正門近くの工事現場にいた警備員中村信一さん(同68歳)を射殺したとされる。
21年3月の1審・富山地裁判決は、島津被告に拳銃を奪う意思が生じたのは警察官殺害後だった可能性を排除できないと判断。弁護側の主張を認めて殺人と窃盗の罪を適用し、無期懲役を言い渡したが、検察側と被告の双方が控訴した。
22年3月の2審・名古屋高裁金沢支部判決は、「当初から拳銃を奪う意思があったとみるのが自然」と指摘。「1審判決は明らかな事実誤認がある」として、強盗殺人罪の成立を前提として審理するよう、地裁に差し戻した。
島津被告は1審の公判では一度も発言せず、2審には出廷しなかった。
弁護側は差し戻しを不服として上告したが、24年3月に最高裁が棄却。その後、同地裁で昨年5月~今年9月に計16回、争点などを整理する「期日間整理手続き」が行われた。
差し戻し審では、強盗殺人罪の成否や量刑が争点となる。判決は12月8日に言い渡される見通しだ。